2016. 09. 09  
「お前、まだポケモンGO入れとん?
幼稚やなー。消せ消せ。」

片手間にパズドラをプレイし、人に幼稚と言う割には自分が幼稚な顔つきをした短髪くりくり天然パーマは、胸毛までは見せない灰色のVネックシャツと50年前の勇者様が着てそうな紺の布切れを羽織った友人の携帯を覗き込んで言い放った。

友人は、所々が無駄に破けている白色の七分丈綿パンに手を突っ込み、顔を真っ赤にしながら、苦し紛れの言い訳をする。

「やってないわ。一応置いてるだけ。」

友人は言い訳を言い終わるや否や、苦虫をすりつぶしたような顔で、ポケモンGOのアプリを抑えつけた。
彼の手は小刻みに振動している。
まるでポケモンGOを消したくないのと主張しているかのように...

ポケモンGOのアプリが恋愛中の西野カナを超える勢いで、ブルブル震え始めたのもつかの間、男の手は目にも留まらぬ速さでバツボタンをタップしていた。

白綿パンの男の携帯からポケモンGOが跡形もなく消え去った瞬間だった。

「ふっ」
余りに潔い消去の割に、消した本人は顔面蒼白になっていたのを見た私は、つい吹き出ししまった。

焚きつけた天パと白綿パンは、突然隣に現れた、'急に笑う男'の存在を訝しく思い、ジロジロと私を見つめた。

細い目をさらに細め、何もなかったかのようにケロッとした憎たらしい表情を浮かべた私は、携帯を取り出し、あのアプリを起動した。

「ポケモンGO幼稚やな。消せ消せ。」と白綿パンを焚きつけた張本人、天パも、彼がここまで早くアプリを消すのが予想外だったのか、どう声をかければいいかわからない顔をしている、未だに横目でパズドラをプレイしながら。

そして先ほど、私の携帯から起動されたポケモンGOは、破けた白綿パンの目線を集めていた。

彼は綿パンの破けた部分を爪で引っ掻き、唇をガタガタ震わせている。
よっぽどポケモンGOに未練があったのあったのだろうか、白綿パンが私を見る目つきは、長年連れ添った彼女を奪った男に対する憎悪にも似ていた。

ブゥオンプシューっという神戸電鉄独特の停車音で駅に到着したが、そこで天パは「じゃあな。」と言いながら颯爽と電車から降りた。

白綿パンは少し虚ろな目で「お、おうじゃなあ」と力なく答えた。

彼らの友情はこれからも続くのだろうか。
たぶん続くだろう。モヤモヤした気持ちのまま彼らの物語は続いていくが、私には彼らを見守ることしかできない。

しかし、いつの日か、白綿パンが激昂し、「あん時お前の一言で、俺は、俺は、ポケモンGOを消してしまったんやぞぉっ!俺の、ピッピカチュウ返せやボケェッ!」と、天パの胸ぐらを掴み壁ドンする時が来るのかもしれない。

不用意に「消せ消せ」と煽るのはやめようと学んだ出来事だった。


俺バグ最後
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2016. 08. 10  
3分

人は3分という時間を意識され続けてきた。

ウルトラマンの地球上での活動時間、カップラーメンができあがる時間...

俺は、今。

東梅田駅から阪急梅田駅までを3分で到達するという限界ギリギリのイベントに挑戦しようとしていた。

高校のときも同じようなことをしていたが、絶対間に合わんやろと思う電車に本気で走って間に合うときの嬉しさが忘れられないのだ。

正直このイベントはとち狂っている。

梅田の地下道をサラリーマンが本気で走っている姿を想像してほしい。

怖いとあうか、意味がわからん。


しかし、俺は走る。

なんか色々どうでもよくなったからだ。

社会人になっても相変わらず、バカにされて...

もちろん全くモテねぇし、
他人を妬むばかり。

あの子も、どっかのあいつと.......

俺のことなんてとっくに忘れちまってるかもしれない。
忘れてなくたって、俺が必要とされていないことはわかる。

ピエロはピエロとして、勝手に生きるしかない。


そんな現実が、悔しくて悔しくて、たまらない。

「クソッタレ!しゃんなろー!
やってらんねぇよ!」

何処にぶつけたらいいのかわからないこの悔しさと怒りを日々煮えたぎらせている。



会社では、ヘラヘラちょけているが、あれこそキャラ作り。

陽気な奴を演じているだけだ。

その方が、円滑に人生を過ごせるし、仕事自体もポジティブに運べるからそういう風に演じている。


悔しくて悔しくてたまらないのに、変わらない自分が憎くて、
ヘラヘラ笑ってちょけてればいいと思っている甘っちょろい考えも、気にくわない。

そんな自己嫌悪と劣等感に襲われても、

走ってるときは全てを忘れられる。

3分で東梅田から阪急梅田に着くという目標

それに向けた作戦立案

最前列の車両、扉に陣取り、扉が開くと同時に猛ダッシュ。

バカらしいことだが、俺はこんなことに本気だ。


このイベントはただ、ダッシュするだけでは決して間に合わない。

頭で空間を捉え、最短距離を考えて体を動かす。

人がなるべく少ない裂け目を探してそこでダッシュ。

右手から左手、人が少ない方に、荷物を持ち替え、
人が増えたらスピードを落として、
クラゲのように体をスライドさせてくぐり抜けていく。


こち亀で両さんが、人だらけの浅草仲見世通りをくぐり抜けるのと同じ気分だ。

くだらないことでもいい、日々闘っていきたい。

この悔しさを何かにぶつけて、本気で生きていきたい。

全ての本気が合わさって18時梅田発に乗れる、俺は試されている。


全力で走り、阪急梅田へ到着した。

改札を通った瞬間目の前には、駅員がドア近くで手を挙げている様子が飛び込んできた。

行けるっ間に合う!

俺は最後の力を振り絞りダッシュをかけた。
ウサインボルトも顔負けの脚力をみせつせる。

俺がドアのすぐそばに近づき、あと一歩で車内に入れると思った、

その瞬間、、

駅員は手を振り下ろし、ドアは閉まった。

俺は拳を震わせ、呆然とその場に突っ立っている。

言いようのない悔しさ。

たかがその程度、されど、本気で闘った結果だ。


いつも、いつもそうだ。
阪急の駅員は俺が嫌いなのか?

この前なんてこんなパターンもあった。

・十三駅で降りて前の車両に移動するためにホームを歩く

→その間にドアが閉まりかけるので体をねじ込む

→駅員が俺を止める

→俺を置いて電車は進む

→用もない十三駅で諸行無常

→自分が情けなさすぎて柱を殴る

→手が折れる


「クソッタレっ!今にみてろよ」

悔しさだけが募る日々

ぶつけようのないこの悔しさを糧に、日々闘ってやる。

ガキでいい。

バカにするならバカにしろ

もうなんでもいいんだ。

2014年、大切な人に拒絶されてから、大切な人を失ってから、

もうヤケクソなんだ。

バカがほんまにバカになって生きている。

それだけだ。

今にみてろよ




俺バグ最後
2016. 08. 02  
「16時半阪急マクド前よろしくお願いします。」

15時50分、集合時間の40分前に念を押すようにある人からラインが来ました。

「なんやこの人。こえーな。」

僕は他人事のように呟きます。


今から僕が会おうとしてる人は、ネットで知り合ったよくわからん女性です。

3日前このよくわからない人から「会えますか?」と、言われたのです。

これは絶対怪しい。

サクラでその場に現れないか?

コワモテおっさんが現れてボコボコにされてカツアゲされるか?

もしくはボッタクリバーに連れてかれて半泣きにされるか?


とにかく、これは絶対おかしい。

後輩や友人にこのことを相談すると「それまじで怖いやつ。逃げたほうがいい」と口を揃えていいます。

そんなことは僕もわかっていましたが、ここ2年ほど自暴自棄に陥っている僕は、怖いもの見たさというかスリルを求めてこのわけわからん誘いに乗りました。


「さあ、このイベントどうなるのかな?」

と思いつつ、集合場所へ向かいました。

「着きました。青のボーダーの服が僕です。」

そう、相手に送信して、マクドの前で突っ立つ僕。

しかし、待てど待てどそれらしい人は来ず、まちぼうけ。

そんなとき、キョロキョロと辺りを見渡していると、俺と同じようにキョロキョロと辺りを見渡している人がいました。

この人かもしれない...

小さな一重まぶたを大きく見開いたその瞳の先には、

野村克也監督の嫁はんサッチーのようなおばあちゃんがいました。

ピタッッッ!

おばあちゃんと目が合いました。


まさか?この人か?

写真は美人やったのに詐欺りすぎやろ!?


そこじゃない!

こんなおばあちゃんが、ネットで出会い求めてるわけがねぇっ!


おばあちゃんは、僕の目を見てニッコリ微笑むと

「阪神百貨店へはどの方向に進むの?」

と質問してきたのです。
この人じゃなかった安心感に包まれた僕は、いつもの3倍丁寧におばあさんに道を教えました。


おばあさんを見送ると、またまちぼうけ。

僕の前を、カップルたちが、何組も何組も通りすぎて行きます。

`…リア充爆発しろぅ` 妬みに満ちた赤い文字が僕の脳内で点滅しました。

「あっかん、俺何してんねん!?」

心臓を搔きむしるような焦りを感じた僕は、もう一度連絡をとります。

「どこにいますか?」

しかし、返事はありません。

僕は、「帰ります」というメッセージを残し、なんとなく府に落ちないような気持ちを抱いたまま梅田を後にしました。


シャワー浴びて、ワックスガチガチにして、1軍級のまだかっこよさげな服を着て。

ものすごく構えていたのに、結局、騙されただけという肩すかしを喰らったような気持ちで眉毛をへこませる青年。

「俺、ほんまに何してるねん...」


拳で自分の頬をペしっと引っぱたき帰路に着きました。




俺バグ最後
2016. 08. 01  

誰もが一度は経験する逃げられぬ闘い...

僕は22歳にして、そいつを初めて経験しました。


普通、新入社員というものは、15分ほど余裕を持って会社に到着するものですが、僕は毎日、時間ギリギリに到着する電車に乗っています。

'ギリギリでいつも生きていたいからah-ah' りあゆふぇいす


ある日の朝、満員電車に揺られている最中に、何かムカムカする感覚がしました。

便意という名の魔物が僕を襲います。

漏らすのか?

いやだ、いやだ。

前傾姿勢をしたり、芋虫のように体をくねらせ、ときおりしゃがみこみ、耐えるために全力を尽くします

あかん、これはあかん

僕は、この便意が多少の我慢程度ではどうにもならないということに気づいてしまいました。

そんなとき、電車の広告に描かれた表示が目に飛び込んで来ました。


「万が一の時には、非常停止ボタンがあります。」

そして隣に、ワンピースのバギーの鼻のような真っ赤な赤いボタンがあるではありませんか?

これか?押すか?

もう押そう...

押すと全てが楽になる。
そんな気がしたのです。

押せば、電車が止まります。

そうなると、なぜ止めたのか?という問題になります。

僕は答えるでしょう。

大便がしたかった。

しかし、線路で止められてもトイレはありません。

なぜ止めた?

朝の通勤ラッシュの大切な時間を、便意に駆られて止めてしまった僕を、人々は、神は、許すでしょうか?

いえ、許しはしないでしょう。

僕はなんとか思いとどまり、電車停止ボタンを押すことを思いとどまりました。


梅田まで耐える、そうすると、まだ会社に間に合う可能性はあります。

しかし、僕は会社に間に合うことよりも便意を抑えることを優先しました。



西宮北口に電車が止まるや否や、僕は猛ダッシュで、階段を駆け上がりました。

このとき、僕は風になりました。

こんなお洒落な駅で途中下車する理由が.....だなんで。


トイレに駆け込んだ僕は、4つの世界への扉が開かれていないことに絶望します。

「すみません!」
「すみません!」
「すみません!」
「すみません!」


僕は鈴木奈々の楽屋挨拶周りのように叫びながらドアを順に叩きました。

しかし、反応はありません。

僕は、どうすることもできずドアの前でとにかく歩き回ります。

カッカッカッ

響き渡る革靴の音...


頼む、誰か?早く...


そのとき...

ガチャッ

トレンディエンジェルのような頭をした中年男性がドアから出てきました。

僕は彼が、現世に舞い降りた天使に見えました。

「ありがとうございますっ」

叫ぶや否や駆け込み、この世界に平和が戻りましたとさ。
2016. 07. 07  
-僕の髪の毛歴-

・街行く人々に「僕に似合う髪型はなんですか?」と聞き込み調査を行い、
その後、公園で散髪

・高校の敷地内で散髪し、片面ツーブロックデビュー

・2週間後、校則を破った罰として坊主となる

・真冬の公園で水道水を利用して縮毛矯正、失敗してチリチリに

髪の毛にまつわるいろんなエピソードがありますが、昨日新たな出来事がありました。




「はじめてのQB1000円カット〜そして角刈りが生まれた〜」


旅行資金のため節約を始めた僕はさっそく散髪代をケチります。


阪急塚口駅の1080円カットエンジョブ、
同じく塚口の1200円の理髪店に行きますが、共に1時間ほどの待ち時間。

何度死にかけても、赤信号を待ちきれないほとせっかちな僕にとっては厳しい現実です。

JR大阪駅内に1000円カットがあったことを思い出し、訪れましたが、そこも40分以上の待ち時間。

たらい回された果てに、結局どこでも切らないという選択肢を選びました。


昼の用事の後、夕方に再チャレンジします。
「今度は、待つ。絶対髪を切ってやるんだ。」
強い決意を胸に秘め...


再び、JR大阪駅内のQBを目指します。

JRに乗らないのに、改札を通り駅構内へ入ります。


午前中は「トイレを貸してください」と言い、駅構内に入りましたが、
今回は真っ当に、120円の入場券を買って入ります。

入場券というのはUSJみたいな響きですがそんないいもんでもありません。

御堂筋口と中央口の違いがわからず、あわあわしながら15分ほど探した末に、QBカットを見つけ出します。

砂漠のオアシスの見つけたかのような喜びの表情を浮かべ、店内にドカドカ入り込むと、

「こんにちは~」
「こんにちは~」
「こんにちは~」

同じような顔をしたお兄さんが、同じようなトーンで、同じような言葉を繰り出してきました。

駅の構内にある店ということからかもしれませんが、店員の顔つきが駅員さんっぽくなっています。


左から、眼鏡、眼鏡、NOT眼鏡 東京03のような布陣です。

ちなみに挨拶は、
「いらっしゃいませ」ではなく、「こんにちは」

この店は挨拶を大切にするスタイルのようです。


「すみません、何分くらい待ってますか?」
僕が尋ねると、

東京03 Aは
「20分くらいですかね?」
と真顔で答えます。

今回は待つことを決めていましたので、席に座りましたが、
小腹がすいたので、外の売店にパンを買いに行きたくなりました。

「ちょっと外出てええっすか?
順番来るまで、10分以内には戻ってくるんで。」

店を出ようとした僕に、東京03 Bが申し訳なさそうな声でボソリとつぶやきます。

「順番キープてかできないんすよ~」


…そういうシステムですか。

よく見ると、座る場所に

① ② ③

という番号札が貼ってありました。
この店は、椅子取りゲーム方式を採用しているのです。

つまり、髪を切ってもらうためには、番号の椅子に座り順番をキープし続けなければならないのです。

それを理解した僕は、

「あ!そうっすか!ちゃんと座って待っときますね!」

と素直に従いました。


座りながら、人間観察に没頭していると、

明らかにほぼ坊主のおっさんが入ってきて、椅子に5分座ってから、店を出るという珍しい出来事に遭遇できたりします。

髪を切りたかったのか、髪を切られている人をみたかったのか…?


その後、母校の隣に座っていたおじさんが、東京03 C に呼ばれて、カット席に座りました。

ダンデぃな帽子をかぶっていた彼ですが、帽子を脱ぐと髪の毛は波平さん

波平さんの髪の毛にも容赦のない、東京03 C は、側面部の髪の毛をバリカンで刈っていきます。

僕は、「切らないであげて!」と叫びそうになりましたが、のどの奥底で言葉を飲み込みました。

`感情全てを言葉に出すマン`の僕がその癖を抑えることができたことは、ほんのり成長した証かもしれません。


そんなどうでもいいことを考えているうちに、
東京03 A が一人のお客さんのカットを終えました。

「ありがとうございましたー またお願いしまあす!
 またお願いしまあす!」

またお願いしますを2度繰り返した東京03 A は次のターゲット、僕に視線を合わせ、

「どうぞ~こちらへ~」

と手招きしました。


ついに、来たか…

僕はカット席に座り、ゾクゾクしながら始まりを待ちました。


東京03 A は微妙なテンションのまま、僕の耳でささやきます。

「どんな感じにしたいですか?」

「そっすねー。全体的にガッと切って、短くてツンツンしてくれますか?」

「は~い、わかりました~」


「あと、僕、後頭部に10円ハゲがあるんで、それを隠す感じでお願いします。」


後頭部の一件を知らされた、東京03 A は、
「やっかいな客をしょいこんじまったぜ。」と言う表情を浮かべます。

後頭部を確認した03 Aは言います。
「これは切れないっスね。切ったら危ないです。バランスがあるんで、バランスが。」


僕は、「じゃあ、バランスよくなるギリギリで全体的に髪の毛短くお願いします。」と依頼しました。

「わかりましたー」と気のない声を張り上げた
東京03 A は、

さっそく、バリカンを手に持ち、襟足を刈り始めました。

バリカンが序盤から存在感をだしてくるなんて想定外だった僕は、顔を能面のようにしただただバリカンをつぶらな瞳で見つめます。

バリカンをしまい、ハサミを取り出した東京03 A。

僕の髪の横サイドを細かく切っていきます。
動きが細かすぎて、髪の毛を切っているかどうかもわかりません。

シャキシャキという音だけが目立つのですが、髪の毛が落ちている気配がありません。
たぶん準備運動なんでしょう。


「早くガッツリ切ってくれ!」

そんな思いが、表情にガッツリ出始めた僕を察したかのように東京03 A は
腕をまくり、どでかいハサミに持ち替えました。

ジョキジョキジョキッ

カニのような動きとハサミさばきで、髪の毛をさばいていきます、その時間わずか10分ほど…

東京03 A は、ドヤ顔で鏡を取り出し、僕に告げました。

「これでどうですか~」

「もっとすいてください。」
僕は即答しました。

髪の量が多すぎます。いくら1000円といえども、これでは不満足です。

「はーい。」
張り切った東京03 A はまたハサミでジョキります。

しかし、ほんの少しジョキって、僕に再度確認します。

「どうですか?」

「もっとすいてください!」
僕は激しく主張します。

ジョキ…


「どうですか?」

僕は小さな一重まぶたを大きく見開き、髪の毛を確認します。
頭をさわりますが、大量の黒っ毛が頭皮にはりついているのが、手にとるようにわかりました。

「まだ、多いんですよね。もっと切ってもらっていいですかね?」

1000円カットという性質上、早く切り終えて、回転率を上げるという店舗特性は知っていましたが、
図太い(というか自分勝手)な性格の僕は、ガンガン攻めていきます。


東京03 Aは、さらっと、ものすごくさらっと鋭利な一言を放ちました。

「これ以上切ったら、ハゲみえますよ」

…これ以上切ったら、ハゲみえますよ(この繰り返しに特に意味はありません)

これが僕と東京03 Aの関係を決定づける、記念すべき一言でした。


...それはあかんやろ
ハゲは見えるのはあかんで…


今まで俺が行った美容室や散髪屋の人らは、このハゲが見えへん程度に
やけに頑張ってくれて、無理そうなときでもギリギリまで粘ってハゲが見えへん
短髪にどうにかしてくれた。

僕は心の中でつぶやきます。

そして、髪の毛への想いを東京03 Aに告げます。

「禿げがみえない程度に、もうちょっと切ってくれませんか?
これから暑いし、極力短くしてほしいんですよ!」


「はい、わかりました…」
まだ切るんか?
やれやれ…そんなジョジョのような決め台詞を言うような顔をした東京03 Aはハサミを握り直しました、


しかし、ここからが、東京03 A のカットの真骨頂でした。

ハサミが奏でるメロディは、
ジョキジョキという音から、ザクザクという音に変わっていました。


ザクッザアクザクッザアク


何か吹っ切れたんでしょうか?

もうこいつのハゲみえてもいいから切りまくったれと思ったんでしょうか?

ザクッザアク
のハサミは、踊る宝石のように飛び跳ね、髪を床にまき散らします。

「ええぞええぞっもっと切れーもっと切れぇ!」

僕は心の中でハイテンションになっています。


ハサミのダンスが終わると同時にザクッザアク
は、ドヤ顔で鏡を取り出しました。

「ど、どうですか!?」

「おっけっす!あざっす!!」

僕は、満足げに鼻の穴をふわっと広げて答えました。


「最後に、吸いますね~」

そういい、ザクッザアク
は、掃除機らしきものを僕の頭に近づけました。

ギュイィーン
まるで掃除機のような音をならす、掃除機っぽい道具が僕の頭にはりつき、髪の毛を吸い込んでいきます。
(吸引力はダイソンには叶いそうにありませんが…)

しかし、この掃除機、吸い込み口の周囲の部分の毛が、チクチクします。

「痛い、痛いからやめて」と思いましたが、

誰もが通るこの吸引、運命なんだ、

そう捉えて、この状況を甘受します。

ちんちくりんな髪形の上に乗る、髪の残骸を吸引されながら、このチク針に耐えると、ついに全メニューが終了しました。


合計時間は、約20分、はっえ~!

最後になぜか二回、感謝の言葉を繰り返す。
東京03 A

「ありがとうございましたー またお願いしまあす
 またお願いしまあす!」

狭い店内ではやまびこのように同じセリフを三人の東京03たちが、言い放っていました。

「ありがとうございましたー またお願いしまあす」




短編エッセイいかがでしたか?
コメント欄に感想や、批評いただけると嬉しいです。

明日、7月8日は
小説「俺たちバグジー親衛隊」

Ⅱ章PART15 Table tennis at Supermarket

スーパーマーケット内に卓球場を発見!
警備員の目を潜り抜けることができるのか...?

俺バグらしいアホらしい話なのでぜひ読んでみてください!
プロフィール

神戸のルパン

Author:神戸のルパン
このブログでは小説を連載したり、
日々気になったことを記事にしています!

小説のタイトルは、「俺たちバグジー親衛隊」
楽しく生きよう!と思える、明るい作品です!
会話が多く、気軽に読める作品で、毎週金曜日に1話ずつ更新します。

1話完結が基本なので、何話からでも読み始めることができます!

<あらすじ>
 毎日をバカらしく生きた高校生のドタバタ日常ほんわかラブコメディ!
電車で謎のおっさんに殴られる。旅館の浴場に温泉の素を投入。迷子の末、線路を爆走…
  主人公は高校デビューを決意した、冴えない高1とっしー。親衛隊(友人たち)の助言を得て、様々なおバカ活動により垢抜けていく。
 浅倉さん、謎の美女レベッカとの出会いはさらなる波乱を生み…!
 次々と起こる謎イベントや、とっしーの恋のゆくえ!果たして物語はどう転ぶのか?
 読むと「っふぅほわっ」とした気分になり、人生が楽しくなる!?
 現代日本に送る「愉快痛快日常コメディ」

 ぜひ一読してみてください!

また金曜日には稀に、俺たちバグジー親衛隊の続編「俺バグ延長戦」を更新しています。こちらは、社会人となった主人公とっしーが、何を考えどう生きたかが描かれています。おなじみ、親衛隊メンバーとのおバカな掛け合いは健在ですが、高校生編よりも真剣な展開が多いです。

金曜日の「俺たちバグジー親衛隊」がみなさんの週末に欠かせないものとなり、
「今週もよく頑張った!また明日から頑張っていこう!」
 と思え、読んだ人々の心が軽くなって笑顔になる作品を執筆していきます!

 物書きとしては初心者で、稚拙な表現も多々あります。
 感想や指摘点はコメント欄でどんどん教えてほしいと思っています!
 物語の完結まで、一生懸命執筆しますので、応援よろしくお願いします!

また、他にも音楽や、サブカルチャー、社会問題への提言など幅広い話題の記事をアップしています。よろしくお願いいたします!
 夢は、書籍化→映画化!!!
日本列島に「俺バグ旋風」を巻き起こします!!!

↓ツイッターでブログ更新を通知しています!
やぎぬま るい (@hishintai08)

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