2016. 03. 11  
2016年某日。巷で流行りのリアル脱出ゲームに挑んだ。

一緒に行く予定の友人がこれなくなり、1人で行く。ぼっちか?ぼっちです。
1人カラオケ、1人焼肉、何事もおひとり様が流行っている時代や、オールオッケー。

「しかし、リアル脱出ゲームとはなんだ?」と思い、当日の朝、ググってみた。
現代人のグーグル依存率は洒落にならない。こうやって、考える力が衰えて脳がツルッツルになっていく

無題

すると、ある記事を発見した。
「リアル脱出ゲームは女の子と出会えます!謎を真剣に解くなんて馬鹿です。女の子との連絡先交換に本気を出してください。」
「この記事書いてるやつちゃっれぇ~。謎ときゲームで謎解くな?ソウキタカー!チャライ!」

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俺はそう思ったが、
「よし、俺もチャラ男になってみよー!」すぐに、俺もチャラくなる決意をした。

彼女にフラれて2年。
勝手に未練たらたらでストカになるかならんかの土俵際でウヨウヨしている俺は、
吹っ切ってチャラくなることに活路を求めたのだ。
俺は自分のことを、神戸のルパンと呼んでおり、「かっわいいゲストヒロイン、クラリス探すぞー」と気合入れた。


思い立ったらすぐ、動く。さっそく、散髪屋にもうダッシュで駆け込み入店した。
手動ドアやのに、自動と勘違いして、激突ドッガンランシャーン


「髪形どうしますか?」
「モテそうな感じで!」
「わかりました」
店員の苦笑いからは、「いや、麒麟の田村顔でモテる髪と言われても…pupupu」という感情が伝わった。
散髪を終え、ワックスツンツンのええ感じの髪型
残念ながらほぼ角刈り、とれたての栗みたいなヘアー
でリアル脱出ゲームの会場へ向かった。


会場へは、1時間前に到着。俺は学生ニートが故に、時間には縛られない。
早めに会場入りして、女の子と話そうと思った。そう。さっそく、チャラ男の記事を実践しようとした。

が、周りにいるのは、スーツ姿のグループとイケキャラ合コン的な奴らの2組だった。
一人でいる女の子なんていない。団体で話しているんだ。
グループに割り込んで女の子と話すのは俺にとっては至難の業だ。
例えるなら、アメフトでがっちりスクラム組んだ奴らの中心に割り込むみたいなもんだ。きちい


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俺は直感する。「あ、これ1人で来たらあかんやつや。ぼっちになるぞ?」
会場には続々と、人が集まっているが、団体ばかりだ。キャピキャピウェイウェイ言いながら、突撃してくる。

俺はその勢いに押されて、会場の周りをウヨウヨ歩き回っていた。
 サッカーでゴール決めた感じの嬉しいウヨウヨではない、体育の授業でペアが見つからない時のウヨウヨだ。


しばらくして、スタッフがやってきた。そして2階のメインへ会場に案内される。
チケットを見せて入場だ。チケットをドヤ顔で見せる俺にスタッフは
「1人ですか?」と尋ねる。見りゃわかるだろ
俺はドヤ顔で「はい」と答えた。

その瞬間のスタッフの憐れみの表情は一生忘れない。言い過ぎ、明日には忘れるどうでもいいことだ。

今日の脱出ゲームは約100人が参加する。6人毎のチームにわかれ、協力して謎を解いていくようだ。
そこで、チームごとのテーブルに案内された。

俺を誘導したスタッフはジュノンボーイみたいな顔した奴だ。
ジュノボはライオンキングのミュージカルみたいなテンションで俺に言う。

「おひとり…なんですよね?大丈夫!だいじょうぶっ!1人でも、楽しいですよ!ほんっと楽しいです!」
無駄にイケメンな笑顔で話しかけられた。

ジュノボの優しさや気遣いには、女性ならキュンとくるのだろう。

が、俺は、コテコテのニューハーフや。ちゃう、関西人の男や。
「このイケメン`1人`を強調しすぎやほっとけほっとけ!」と思ったがもちろん口には出さない。
「そっすね!一人でも楽しめるよう頑張るっす」
シャーっとテキトーに流した。

テーブルに着くと4人チームのメンバーが座っていた。俺は5人目の侍のようだ。誰が侍やねん。

まず3人は、家族のようだ。お母さんと小3の男の子と小1の女の子。
お兄ちゃんと妹は仲好さそうでみているこっちも幸せになる
お兄ちゃんは、マサオくんみたいな感じ。妹はただただかわいい。(ロリではないよ、うん)
そして、お母さんはとても、とてもかわいい、美人。
俺はチャラ男の記事をまた思い出す「謎を解くな!連絡先を聞け!」
が、人妻の連絡先は、聞かなかった。
「聞いちゃだめだ、聞いちゃだめだ、聞いちゃだめだ」
俺は聞きたかったけどさー、俺の中の碇シンジが叫んで止めたんだー
 ...黙れ

そして、もう1人の女性の印象は強烈だ。やたらと縁のでかいメガネに熊の帽子をかぶっている。
熊の帽子をかぶっているから、熊に食われている感じに見えてしまう。

いや、食われてるやろ。血は…でてない、よかったよかった。
かぶってるクマも、かわいいわけでもなく、怖くもなく、中途半端なクマだ。
 富士の樹海とかによくおるスタンダートなタイプ。

以後この人をクマに食われても平気な人、略してクマさんと呼ぶ。

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この人はガチ勢だった。どうガチか?
「私、リアル脱出ゲーム、何10回きてるんですけど!こういう初めに配られるパンフレットに
ヒントが隠されているんですよ!ここ!ここ読んでください!目がちぎれるまで読み込んでくださいね!」
「私の経験上、バイオハザードの脱出ゲームはほんとによかったです」を連呼。
ぐいぐいぐい。

俺も、家族の3人も初心者なので、クマさんが経験者で助かった。
自然とクマさんがリーダーになった。こうやってチームができていくのか

6人グループなので、まだ、メンバーが1人足りない。
俺はここで、今朝のチャラ男の記事を思い出した。
「リアル脱出ゲームは若い女の子と出会えます」

俺は、最後の一人のメンバーが若い女の子であることを願った
「来い来い来い、Mステの弘中アナとか、探偵ナイトスクープの松尾さんみたいな才色兼備系来い!
 それか、鈴木奈々みたいな、楽屋であいさつ2回するアホかわ系ギャル来い!」

念じた、ナンダカンダ念じたんだ。
するとやってきた。

ダースベーダーから、キングボンビーのBGMが俺の頭に流れた。
それほどオーラのある人だったんだ。

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マツコデラックス

が…来た。
マツコ厳密に言うと、デラックスと島崎和歌子を足して2で割った人だ。
人生期待しすぎない方が楽に生きれる。俺は痛感した。


チームが6人そろったところで、チーム名を決めることになった。
クマさんの提唱で「最年少」になった。
6歳くらいの女の子がチームにいるかららしい。
「プリキュア」とか、「若さこそ力」とか、「クマさん」とか俺は、そういうチーム名がよかった。

ふっと一息ついて、周りのグループのメンバーを見てみた。
左隣のグループは、女子大生6人組だ。キャピキャピしている。
右隣のグループは男女のグループだ。チーム名決めそっちのけで、自己紹介をしあっている。合コンかよ

斜め隣のグループは、全員男だった。そして、全員がメガネ。「おぎやはぎ×3」と名付けた。

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俺も眼鏡なので、あのグループに入ったらおぎやはぎになっていたんだろうな。危うい。クマさんや、マツコと同じほうがまだいい。


しばらくすると、司会者が出てきた。ラッスンゴレライブの太いほうみたいなやつが笑顔で叫んだ
「どうもーマツタクですぅっ!」


どどどっ!

ここで笑いが…おきない。
みんなマツタクをみて、口をポカンと開けている
「あかん!口呼吸あかんで!病気誘引するで?華子急にせな!」俺は叫びたかったが叫ばない

口ポカンな客を気にせずマツタクは続けた。
「はい!今日は6人ずつのチームになってもらいましたが、チームのみなさんとは、初対面の人も多いと思います。挨拶しましょうか? はい、よろしくお願いします!」
俺たちはマツタクに促されて、よろしくお願いしますと言った。

「っはい!これでみなさん親友です!」
マツタクの親友の基準低すぎわろた。


マツタクは、矢継ぎ早にゲームの説明を入れていく。ダッダッダッ
途中、会場が暗くなりステージ前のスクリーンから映像で説明が始まった。
すると、クマさんは、どらえもんが、秘密道具を探すかのように、どでかいポーチからジャラジャラ何かを探しはじめた。
取り出したものはペンライト。

自分の手元を光らせようとしたが、はじめ間違えて自分の顔を照らしていた。闇の中にクマさんの帽子がファっと浮かんできた。

あれはホラー。

自分のパンフレットやメモを見て、何かを確認し、常にメモるクマさん。説明中、「カッカッカ」というペンの音がこだました。
俺はクマさんの様子が気になりすぎて説明が耳からスゥーと抜けていった。

そして、説明が脱出ゲーム終わり、脱出ゲームが始まった。
リーダーはもちろんクマさん。他の5人に役割分担の支持を出す。
クマさんは説明時に、「走らないないでください」と再三言われているのに、すぐ走る。

会場をめぐりヒントになりそうなものを、写メっていた。
俺もクマさんと同じ、写メ舞台だったが、
俺はヒントを写メらずクマさんを写メった。なにしてんだか

ヒントの写メを撮り終わりテーブルに戻る。
親子三人が必死に謎を解いているその横を、ぬぼっと、マツコが立っていた。

マツコは、基本傍観者だ。謎は解けない。いつも困った顔をしてはる。
けど、マツコはでかいので横でのっそり見守ってくれるだけで安心する。

何事も適材適所ってやつがあるんだな

最年少の6歳の女の子は、謎解きには苦戦している。だから、役割は、ヒントカードを提出しにいくことだ。
提出場所までは20秒ぐらい歩かないといけない。
お母さんが「一人で大丈夫?場所わかる?」と女の子に聞く。
ちょっと自信なさそうに「大丈夫」と答えていたので、俺は「僕がついていきますよ?」と言った

お母さんもお兄ちゃんも、必死に謎をといていたので、(俺が謎を真剣に解いていないだけ)
女の子の見守り役を俺に任せてくれた、
そして、女の子のヒントカード提出を、背後からついていく。ドラクエかよ。

 ヒントを提出するところは、2つある。
黒幕の箱が二つあるので、そこに下からカードを通す。正しいヒントカードを入れると、黒幕の中のスタッフが、次の手掛かりとなるカードを渡してくれるのだ。

カードの種類ごとに違うので、俺は後ろからしっかり見守った。
悩みつつも、正しい場所に提出できた女の子。「くっそかわええ。」と俺は感じた。
その瞬間、「俺ってロリコンなんか?」自分が怖くなった…が気を取り直してテーブルへ戻る。


テーブルへ戻ると、一番謎解けそうなリーダークマさんの苦戦が伝わってきた。
「あれ?あれ??」
その横ではお兄ちゃんが機転のよさを発揮し、次々に謎を解いている。
俺は「マサオ君みたいなおにぎり小僧かわえーなー」と見守っていたが、次々と難問の謎を解いていく姿は、
江戸川コナンを彷彿とさせた。

しかし、コナンの力をもってしても、最後まで謎を解けそうにない。
最後5分、このままでは脱出できない!
俺は、ヒントカードの謎を解かずに提出しにいった。
(ヒントカードには、穴埋め問題があり、それを解いて提出すると、他の手掛かりがもらえる仕組み)

解けていないヒントカードを黒幕の中に提出すると、
音声で「無茶言うな。できることと出来ねぇことがある」と言われカードが帰ってきた。

黒幕の中でスタッフがカードが正しいかどうか認識しているのだろう。
俺は、そのカードを何度も提出した。その度に、そのカードが返ってくる。

スタッフもちょいと苛ついているのだろう、そんな無駄ないたずらをやめ、テーブルに戻る。
やっぱり謎は解けない。

終了の合図が鳴った。

「うわ!あとちょっとやったのに!!!」ものすごい勢いでクマさんがめっちゃ悔しがっていた。
その様子をマツコが見守っていた。


帰り道、お母さんと話しながら帰ったが、連絡先は聞けなかった。
いや、聞いたらあかん。
けど、お母さんと話すのは、楽しくて、隣の子供たちもかわいい。
これが家族の姿か、と俺は心があったかくなった。



お母さんたちと別れてひとりで帰ってる時にふと思った。
今日のイベントはなんだったのだろうか?

若い女の子と謎解いてあわよくばええ感じになっちゃうつもりだった。
しかし実際行ってみると、
お母さんと、マサオ君と、かわいい女の子と、マツコデラックスと、クマさんに喰われてる女の人と、謎解きをした。
1番仲良くなったのはお母さんだ。


「若い子もええけど、人妻もええなあ」なんて、思ってしまったんだ。

アカン!
チャラ男どころか、ベッキー事件の極みやないかい!
2.3本飛んでしまった頭のネジを拾い集めて正気に戻った。


「結局若い女の子とは出会えんかったな」
意気消沈した俺の横を
(斜め隣のチーム)おぎやはぎ×3が
ケラケラケラーっと楽しそうに話しながら通り過ぎて行った。


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「チャラ男なんて俺には向いてない。おぎやはぎが一番ええわ」
俺はそう呟き、夜の街をひたすら歩いた。


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作者がへたくそな歌とギターで弾き語るエンディング曲
あかん ティーナカリーナ

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2016. 03. 25  
ドッドッドッ。明石海峡を越え、揺れるバスに乗っている。
今日から3泊4日お一人様旅だ。
神戸三宮から2分くらいで急に徳島に着いたから慌てて降りる。んなわけあるかい

四国はなぜかテンションが上がるので、意気揚々と旅路に着く。
が、途中で気づいた。

「あっ!トランクがねぇっ」

トランクをバスの荷物置き場に入れたままだったことに気付いた。
俺は慌ててバス停に戻る。ダッシュ
バス停にはバスがのっそり止まっていたが、ラベルが回送に変わり、今にも走りそうな雰囲気を醸し出していた。
「やっべ!」

背後から全速力で走りバスに近づく俺。
女の子相手に、背後から全速力で近づいちゃうとストーカーだが相手は巨大な鉄の塊だ。
なんら問題はない。


猛ダッシュする俺とバスとの距離がどんどん近づく
5m 4m 3m 2m 1m...

「よっしゃ追いついたあっ」
そう安堵した瞬間、バスがうごめいた。
のそっとした巨大を揺らしゆっくり発車するバス。

その姿はまるでネス湖のネッシー。見たことないけど

「っあかん!待ってくれ!」
俺はバスの背後から叫んだ!
俺の声なんて気にかけずネッシーは進む。

その後ろを走って追う俺。
「50m2秒3の実力みせたわいや」
本当は7秒台だが、影技・憑鬼の術 (流浪に剣心の鵜堂刃衛が使う術)を使ってみた。

「心の一方で己に暗示をかけ、全ての潜在能力を解き放つ技」作中ではこう説明されてたが、
簡単に言うと自分が強いと思い込んだらほんまに強くなるというめちゃくちゃな理論

徐々に加速するバス。
バスはバス停抜けて、右折し、交差点に入った。
俺は自分が車と勘違いしたのか、何も考えてないのか、交差点を車のように走った。
ルパン的なカーチェイスならかっちょええが、バスを後ろから追う男の図は
まあださい。

「ま、ま、ま待ってくれえ!」
叫びながら全力で走る。
なんかテンションが上がって俺の顔は笑顔だった。
が、バスに人間は勝てない。みるみるうちに引き離されてしまった。

ドッタァ

俺は道路に足を着き、肩を落とした。 絶望感が半端やあらへん。

俺は、つぶやいた。
「トランク、じゃあな。この旅行はお前抜きで進めていくよ。着替えないから最悪全裸やけど気にすんな。お前は悪くない。取り戻せなかった俺が悪い」

そして、俺はトランクをほっといてレンタカーを借りに行った。

次の目的地は高知県だ。
しかし、トランクが寂しがってるような気がしたので、しっかり取り戻しにいくことにした。
なんてええやつなんや、俺は。

バス会社に電話して、バスが向かった車庫を教えてもらい向かった。
まさしく子供を保育園に迎えに行くママの気持ちや。


しかし、カーナビがイタズラしやがった。着いたのは阿波交通の出来島車庫。
荷物は徳島交通の出来島車庫。
「どこに向かわせてるねん。けど、惜しいなあ、次は頑張れよ」
俺はカーナビを励ました。

阿波交通のおばちゃんに場所を聞いて徳島交通へ向かう。
そして、徳島交通へついた。事務所の中はおばちゃんの佃煮だった。
15人ほどのおばちゃんがところせましと座っていた。

「すいませーん、荷物忘れたものですが」
「ああ、忘れ物の方ですね?ありがとうございますぅ」
「なんで感謝されるねん」… 嬉しいわ


そして、荷物が戻ってきた。
俺はドバッとトランクを抱き抱えた。

佃煮おばちゃんたちは俺を腐った煮干しを見るような目で見ていた。

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作者がへたくそな歌とギターで弾き語るエンディング曲


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2016. 03. 30  

高校1年の夏休み。部活を終えたバグジー親衛隊の3人はいつも通りバグリ島でたむろって話していましまた。

「この前中卒で働いてるやつと話してよ。仕事って大変やと思ったわ」
「俺ら働いたことないからよくわからんのやけどさ。仕事って、どういうもんなん?」
「なんかして金もらえたら仕事やろ」

「蛇使いは?」
「仕事や」
「占い師は?」
「仕事やろ。」
「コモドドラゴンに追われて走るイッテQの井本は?」
「仕事ちゃう。」

「やってる内容なんてなんでもええやろ。何かをして、その対価として報酬をもらうってことが仕事なんと、ちゃうかな?」

「なら、親の手伝いして、小遣いもらうのも仕事になる?」
「いや、親の手伝いは、お駄賃って感じやろ」

「仕事の定義って難しいなあ。」


「でもよー、俺、転勤はなるべく嫌やな。」
「んな贅沢言ってられっか!高齢化進んでジジババばかりになる日本の内需なんて知れてる。これからは海外で稼がないと。」
「じゃあお前らさ?'明日から転勤や、カンボジア行ってこい'って言われてもええんか?」
「それは嫌やなあ。」

「なんでカンボジアなん?ヨーロッパとかアメリカがええわ」
「アホか!欧州なんてもう市場は開拓され尽くしてる。今後、商機を掴むなら、発展途上国や。」
「カンボジアや、ラオスの東南アジア、ケニアとかコンゴ、アフリカかあ。ちぃと嫌やな。」

「俺は国内でも転勤いやや。朝倉さんと結婚するから定住したいな。」
「とっしー、正気か?もう2回も振られてるくせに何言うてるねん。」


「そういや、お前らって夢とかあるん?」
「幼稚園の頃、ミュウツーになりたい、ってやつがいたなあ」
「俺は出川哲郎になりたいわ」
「とっしーならなれるやろ」


「真面目な話、働くってさ。
'ハタ'を'ラク'にするって意味やと思うんや。
つまり、人のために働くんじゃないか?」


「ふむ、ミスチルの彩りでも言うてるな。
'僕のした単純作業がこの世界を回り回ってまだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく。
そんな些細な生き甲斐が日常に彩りを加える'」


「けどさ、俺が働いて、お前ら楽か?」
「いや。なんも変わらん」
「けど、巡り巡って誰かは嬉しいんやろな。そう思って働くしかないやろ。」


「少し趣向変えて考えて見よう。俺らの知り合いで、1番働かなさそうなやつは?」
「たけけ。」
「あいつ指示されたら黙れとか言いそうやな」
「いや、あいつ案外真面目やから1番働いてそう」

そうこう話しているうちに時刻は23時を回っていました。

パトカーで巡回中の警官が僕らを見つけて、車から降りて駆け寄ってきます。
バグリ島は道路なので、人からは目がつきやすいのです。

「君ら高校生?今、何時やと思ってるの?もう遅いよ」
「すみません、そろそろ帰ります。」

僕は、失礼かと思いつつも仕事についての疑問を口走りました。
「あ、1つ聞きたいんですけどね、仕事って楽しいですか?」

「え?仕事が楽しいか?」
30を過ぎたくらいの警察官のおじさんは戸惑った顔をしたが、何か張り詰めた糸が切れたように話し始めます。

「仕事は大変やで!ほんま、やってられんで!残業だらけ、人間関係も難しい、給料は安い...」

そう愚痴りながらもなぜか嬉しそうな顔をしている警察官に疑問は膨らみます。

「なんで、そんなに大変やのに働いているんですか?やっぱお金ですか?」

「もちろん、お金は大事やで。金稼がない生活できへんからな。けど、僕は、仕事にはお金で買えない価値があると思うな。ラクな仕事なんてまあないし、大変なのが仕事にとっては普通やと思うねん。
仕事でしか得られへん、人間的な成長とかそういうのがあるんとちゃうかな?


僕もよくわからんけど、
毎日必死に働いてたらなんか成長してる実感はわくし、人として成長できたらやっぱり嬉しい。
金と割り切るのもええけど、やっぱしんどいやん。
自分の成長っていうのは、仕事にとって大事な要素やと思うよ。君らも働いてみたらきっとわかるで。
じゃあ、僕ら行くから。君らもはよ帰りよ。」

そう言って警察官は去って行きました。

「あの警察官の話さ。わかるようでわからんよな。」
「せやな、結局仕事がどういうもんかの結論は出ねぇな」

「結局さ。人から聞いたり、あーだこーだ話してもわからへん。
実際自分で働いてみないと何もわからんよ。
「いや、働いてみてもわからんよ。
'仕事ってなんなんやろ'ってずっと思いながら働き続けるんや。それでええんやろ。」


「ただ、日本国憲法に国民の義務として、勤労の義務が明記されてっからとりあえず、俺らも大人になった働くしかないなあ。やらされてる感はあるけども...」

「初めは仕方なく働くって形でええんちゃうかな?
何が何だかわからん中で働いていく中で、自分なりに仕事ってものを消化して、より自分が働きやすいように考えを変えていけばええんじゃない?」


「どうやって考えを変えて仕事を楽しむん?」
「わかりやすいのが、仕事をRPGゲームみたいにしてみるとか。この業務こなしたら、レベルが上がったとか、あの会議でこの経験値が増えたとか。そんで、でかい目標作ってそれをボスと仮定してさ。」

「自分の行動が、自分の成長に繋がってると実感してモチベーション高めるためにゲームに例えるわけか。

「献身性がある人は、仕事をすることが、人のためになってると思えばいい。どんな仕事だって人の役に立ってるし、必要とされてるからそれをして欲しいという需要が生まれて仕事になるわけやからな。」


「目立たへんこと、人から尊敬されへん仕事でも、それが人のためになってるってことをどれだけ自分で感じれるか」

「つまり、視野を広げていろんな視点で物事をみれると、仕事にやり甲斐を感じるわけやな。それが仕事を楽しむことにつながる」


「まあ、こんな話してもそう上手く話いかへんけどな」
「せやなあ」
「俺らがみんな社会人なって、社会に打ちひしがれてからまた呑んで話そうや。」

僕らはそう言ってバグリ島をあとにし、それぞれの帰路につきました。


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エンディング曲

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次回予告 3月31日(木) 
番外編「あれから7年~生まれ変わっていくんだ何度も~」
乞うご期待!
2016. 04. 03  
大阪市営地下鉄、東梅田駅。
停車している電車にパンパンに詰められた人、人、人。

次の電車を待つ人も数多くいるが、彼はその死地に飛び込んだ。
華奢な体の彼は、ただただ押し潰される。
若いお姉ちゃんなら笑顔になろうが、車内の大半はおっさんサラリーマンだ。

彼は天井を見上げ、皮肉交じりの満面の笑みで呟いた。
「これが毎日続くんやな。最高やないか…」

彼の名は、円谷夏生。
それなりの大学を出て、それなりの企業に入った、至って平凡な新卒1年目のサラリーマンだ。

 それから2時間後。
円谷は、入社式をこなし、挨拶回りをしていた。

約20名の新人が幾つもの部署を回る。
2列に整列し、進む姿は、ドラクエのパーティ移動だ。


挨拶回りが終わり、彼ら彼女らゆとり新人たちはそれぞれの部署に派遣された。
 円谷は、父親の年齢の男性が多くいる前で、娘さんを僕にください的なテンションで挨拶をした。
「円谷夏生と申します。不束者ですが、どうかよろしくお願いしますっ」

課長が、彼の傍により、
「元気があるのはよろしぃっ」
と声をかけ肩を叩いた。
彼は安心した表情で心底喜んでいる。

「とりあえず座ってよ。」
直属の上司から声をかけられた円谷は、ガッチガチに緊張しながら椅子に座る。

すると、お姉さんがやってきた。
「コーヒーいれよっか?」
大人の色香を漂わせ、彼に一声かける。

「お、お気遣いありがたく存じます!」

「砂糖とか入れる?」

「は、はいっ!入れてください!」

「はーい。」

彼女はしばらくして、コーヒーを持ってきてくれた。
「ありがとうございます!」

彼女は、円谷をいなかっぺの小僧と判断したのだろう。
横にシロップとミルクが、2つずつ添えられている。

彼は少し戸惑った。
内心シロップ3つくらい欲しいと感じているが、これから社会人として立派に働くためには舐められるわけにはいかない。コーヒーもストレートで飲めないで何が、サラリーマンだ。

一個で良いと判断したのか彼は、シロップとミルクを一つずつ入れて、コーヒーを口にした。

彼は苦悶の表情を浮かべ、こっそり、二つ目のシロップとミルクを入れた。
「この甘さが一番」
コーヒーを味わう表情からそんな思いが滲み出ていた。

彼がコーヒーを人並みにたしなめるにはあと100万光年は必要なのかもしれない。
なにせ舌が赤ちゃんなのだ。出川哲郎もびっくり。


その後、彼は上司から仕事内容の説明を受けていた。

「なるほど!なるほど!」
彼は返事だけはいい。

が、あまりわかっていない。
だから、何度も繰り返し、説明を求める。

彼は、やる気はあった。だが何すりゃええかが、わからないようだった。

そうこうしているうちに初日が終わった。
円谷以外多くの社員は残業していたが、彼は帰宅を許可された。
「今後ともよろしくお願いします!」

彼は、挨拶だけはしっかりしていた。
むしろ、ゆとり世代と侮られないためにも、元気いっぱいぶつかっていくことだけを考えていた。


大学4年間を、楽勝に生活していた彼にとって、社会人初日は疲労の田丸一日だった。
憔悴した彼は、よれよれと梅田を歩く。
やたらカップルちっくにいちゃいちゃ男女2人で歩く新卒社員らしき人とすれ違う度に、嫉妬心を抱く。
「不公平な世の中だ」
そんな不満を無意識に感じた瞬間、あいつの言葉が脳裏に浮かんだ。

「他人と比較するな」
彼は心機一転し、お気に入りの曲をイヤホンで聞く。爆音で流れるミュージックに乗り、
人混みの梅ダンジョン(梅田の地下街)を駆け抜けた。

彼は、月曜日からしっかり働いていけるのか?
不安しかないが、彼の眼だけはぎらついていた。
「ゆとり世代の本気ってやつを見せてやりたい」彼はそう呟いた。

To Be Continued
2016. 04. 09  
4月2日、初めての休日。

円谷は朝から6弦を揺らす。

ジャカジャカジャカーン
大してうまくもないギターにのせ、風邪気味の鼻声で懸命に声を振り絞る。

自作の新曲を作っているらしい。誰が聞くとかは関係ない、ただメロディが浮かぶから作っている。
生粋のシンガーソングライターだ。

他の新卒はこの初めての休日をどう過ごしてんだろなあ
が、彼の頭にふと不安がよぎる。

「明日仕事行っても何をすればいいのかわからん」
慌てて、勤務初日のメモを見返した。
それをまとめてノートに書いていく。

初日に聞いたことは、次までにできるようにしておきたい。

以前の彼は出世欲は皆無だったが、入社すると違った。

「どうせなら登りつめたい」
そんな闘志が湧いた。

だが、彼には能力はない。

円谷夏生という男は、不器用だ。気が利かない。機転が回らない。単純作業だけが得意なのだ。

要領よくしたいと思っているが、うまくいかないのがわかっている。
ならじっくり時間をかけてコツコツ努力するしかない。

彼は地道にメモを見返し、業務内容をシュミレートした。

彼は元来こんな人物ではない。
仕事、めんどい。
ニートがいい。

一生自分の好きなことに時間を費やして、勝手にお金が入ってくるような生活がしたい。
つい1週間前までそう思っていたのだ。

そんな怠惰な彼を変えたのは何か。
何が原動力なのか。

上司に褒められたい。
同僚から尊敬されたい。それもあるかもしれない。しかし、1番の彼の原動力は反骨心だ。

「あの新人使えないな、これだからゆとりはだめだ。」
そう思われたくなかった。閑職につくのは嫌だった。

「あいつ凄いぞ。」
人から信頼されたかった。

そして、ガンガン出世してみたかった。

自分が不器用で能力が低いことは知っている。
ただ、だからといって諦める理由にはならない。

差を補うためには何でもしてやろう。
もっともっと働けるようになって出世してやる!


To be continued...
プロフィール

神戸のルパン

Author:神戸のルパン
このブログでは小説を連載したり、
日々気になったことを記事にしています!

小説のタイトルは、「俺たちバグジー親衛隊」
楽しく生きよう!と思える、明るい作品です!
会話が多く、気軽に読める作品で、毎週金曜日に1話ずつ更新します。

1話完結が基本なので、何話からでも読み始めることができます!

<あらすじ>
 毎日をバカらしく生きた高校生のドタバタ日常ほんわかラブコメディ!
電車で謎のおっさんに殴られる。旅館の浴場に温泉の素を投入。迷子の末、線路を爆走…
  主人公は高校デビューを決意した、冴えない高1とっしー。親衛隊(友人たち)の助言を得て、様々なおバカ活動により垢抜けていく。
 浅倉さん、謎の美女レベッカとの出会いはさらなる波乱を生み…!
 次々と起こる謎イベントや、とっしーの恋のゆくえ!果たして物語はどう転ぶのか?
 読むと「っふぅほわっ」とした気分になり、人生が楽しくなる!?
 現代日本に送る「愉快痛快日常コメディ」

 ぜひ一読してみてください!

また金曜日には稀に、俺たちバグジー親衛隊の続編「俺バグ延長戦」を更新しています。こちらは、社会人となった主人公とっしーが、何を考えどう生きたかが描かれています。おなじみ、親衛隊メンバーとのおバカな掛け合いは健在ですが、高校生編よりも真剣な展開が多いです。

金曜日の「俺たちバグジー親衛隊」がみなさんの週末に欠かせないものとなり、
「今週もよく頑張った!また明日から頑張っていこう!」
 と思え、読んだ人々の心が軽くなって笑顔になる作品を執筆していきます!

 物書きとしては初心者で、稚拙な表現も多々あります。
 感想や指摘点はコメント欄でどんどん教えてほしいと思っています!
 物語の完結まで、一生懸命執筆しますので、応援よろしくお願いします!

また、他にも音楽や、サブカルチャー、社会問題への提言など幅広い話題の記事をアップしています。よろしくお願いいたします!
 夢は、書籍化→映画化!!!
日本列島に「俺バグ旋風」を巻き起こします!!!

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やぎぬま るい (@hishintai08)

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