2016. 09. 04  
本日2話連続公開です!

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土下座の態勢を活かし、蛍子ちゃんのスカートを覗こうとしたぼすを隣で見ていた俺は衝撃を受けた...

正攻法すぎるっ!


スカートを除くというスケベ行為は、全世界の男達、共通の夢であろう。(あかんけどな)

しかし、ここまで真っ向からその夢の実現を挑むものがかつてこの世界でいたであろうか?
俺はぼすの度胸に感嘆してしまっていた。
(よい子はマネしないでね)

俺バグ延長戦Ⅱ章

第十八話 卓球拳〜つわものどもが夢のあと〜




壁にぶち当たったぼすは、ふらつきながらも元の場所に戻ってきて、さすがにバツの悪そうな顔をしている。

「ごめんな、蛍子ちゃん、ちーちゃん。」
「あれはだめだよ〜。ねえ蛍子ちゃん。」

「せやな、あかんな。」
少し薄ら笑いを浮かべながらコテコテの大阪弁で叱る蛍子ちゃん。

「ほんまごめん!
お詫びにアイス買ってくるわっ!」

「おっ、いいの?」
ちーちゃんのテンションが通常運行の50に戻った。
...アイスの威力恐るべし

「いいよいいよ!お詫びのしるし!とっしー行こかっ!」

そして俺たちはトランプ事件(次回十九話で登場)でお世話になった野村克也監督もどきが運営する売店を訪れた。

「あっ閉まってる!」
「9時までってかいてますわ。」

「どうしよ?」
「たしか、外にコンビニありましたよ。チャリ借りたら近いんでそこ行きましょう!」

RPGゲームのような展開さながら、俺たちはアイスを求めてコンビニへ向かった。

平行に並んでシャーシャーギコギコとチャリを漕ぐ2人の青年。

「寒いなあ。」
「ぼす、なんで半袖短パンなんスか!?」

「動きやすいやんっ!」
しんぷるな回答。

「てか、卓球拳やりすぎじゃないすか?なんであんなんやろって言い出したんすか?」

「だって湧かしに行きたいやん!

僕、卓球そんな上手くないし、
普通に卓球したらおもんないなあっておもってさ。

じゃあどうやって輝けるか?
罰ゲームや!と思って

'罰ゲームを加えた卓球'
いや、これは長いな、と思って。
そしたら、

'卓球拳'が頭に浮かんで、これや!」


「えぇ!そんな紆余曲折があったんすか!?」

「そうそう!
卓球拳の点数入れられたら脱いでいく、そのシンプルさがいいと思ってさ」

「てかぼす、靴下脱いでましたよね?」

「そう、僕はTシャツ・短パン・パンツ三枚で勝負しにいってん!
そら、もう入れられたら脱がなあかんやん!」


「脱ぐことを見越して、卓球拳に挑むあたり凄いですね。
けど、蛍子ちゃんは笑ってましたけど、ちーちゃん結構引いてましたよ?」

「あれは、嫌悪の蔑みやで。喜怒哀楽は初期装備やから。」

「'喜怒哀楽は初期装備'名言っすね。
じゃあ、ちーちゃん怒らしたことは…?」

「僕らさ、絶対みいひんちーちゃん見たやん?
だってちーちゃん今回の研修で絶対怒らんつもりやったやん
怒らんつもりとか意識せずとも怒るはずがないと思ってたやん?

そこで喜怒哀楽の'怒'を出す!」

俺はぼすの発想というかポジティブさに大笑いした。

「もう、うち怒るゥっ〜って言ってましたね!」

「やばいよ、リミッターはずしたから!」

「そう言われればたしかに!
人ってね、結構怒らないことがストレスになるじゃないすか?」

「そうそう」

「けど、卓球拳によってちーちゃんの怒りを引き出した!それがちーちゃんのストレス解消になった?」

「せやで!僕らはちーちゃんのストレス解消に役立ったんや!」

「じゃあ、俺らめっちゃええやつ?!」
セクハラまがいの変態プレイをしながら、自分たちの行動を自信を持って正当化している'ゲスの極み馬顔'の俺。


ぼすは卓球拳の影響を冷静に分析する。

「ええ奴かは知らんけどさ。
ちーちゃんの感情を引き出したのは間違いないよな!
最後のほうなんか、'この人らやったらわかってくれる、自分を出していい'みたいな吹っ切れた感じがちーちゃんにはあったやん?」

「まだ4月半ばですし、会って僅かな期間でそこまでなるって凄いっすね!」

「そう!さらに卓球拳だけやって怒らせただけで終わったら、あかんやん?
けど、僕らは今からお詫びにアイス買いに行ってるやん。
ケアしたあと、さらに楽しませる!」

「ぼすはそこまで見越して卓球拳を実行したんすね!
本当すげぇっすわ!!」


俺の心は完全にぼすに奪われていた。

今までボブやキャプテン、親衛隊メンバーから笑いのパターンを勉強してきたが、
彼らとは全く違うタイプの笑いを生み出すぼすはとにかく輝いて見えた。

薄暗い夜道を自転車を漕ぎながら、2人で話しているこの時間があまりにも楽しすぎた。

'時よ止まれ'
何度そう念じただろう。


ぼすはさらに続ける。

「漫画で例えるとさ、とっしー
ハンターハンター読んでた?」

「めっちゃ好きっす、全巻持ってます!」

「キルアん家ってさ、
ドアを自分で押して開けるやん?」

「試練のドアっすね。」

「けど僕らは怒らせて4くらいまで開けるやん。
んで好きで5やん」


好きで5...!!


俺は笑いが止まらなくなり、自転車の運転に集中できなくなった。

ひぃひいっはっはっー

と叫びながら俺のチャリは左右に揺れる。

ゴオッッッー

俺の真横をどでかいトラックが通り過ぎ急に正気に戻る。

危うく死によったのだが、ぼすの話がおもしろすぎて、なんでもよかったのでまた笑いはじめる。

「今の危なすぎやろ!!
なんで轢かれかけて笑ってるんっ!!
いやあ、僕、とっしーと一生飲めるわ!」

「いや、ほんま飲みましょ。俺この社会人でこんなおもろい人に会えるなんて思わんかった...」

「僕もとっしーほどぶっ飛んだ奴みたことないで!」
「そう言ってもらえるなんて本当嬉しいっす!!」


そして俺は少し真面目な話をした。

「ぼすって、技術系じゃないすか?
技術系は'ブラック'って聞くんすけど大丈夫っすか?」

仕事の忙しさを懸念する俺に対して、ぼすはまさかの回答を叩きだした。

「ホワイトにしていく」
「え?」

「大丈夫。ホワイトにしていく。」

「かっか、かっこいい!ブラックという発想がないんすね!!」

「だって、そいつの価値観やん、
ブラックとかホワイトとか。

僕はブラックとか思ってないもん。」

「かっこいい!つまり20年前の高度経済成長時代みたいことですね。
'24時間働けますか?'の時代に、'ブラック'なんて定義がない。」

「そう!
オフはしっかり楽しんで、残業してもしっかりお金は貰えてるからブラックちゃうで!
もしそうでなくなっても、自分から変えていく感じかな?」

「ルールなんて作った人のさじ加減ですもんね!変える意欲があれば変えられる!」

「誰かが法律で脱いだらあかんって決めたから、脱いだらあかんのであって。脱いでもいいって法律ができたら脱いでもいいからな!」
(この理論は危ない...)

「脱ぐのはめっちゃかっこいいと思いますよ!
僕も脱ぐのめっちゃ好きなんすよ!!高校時代よく脱いでましたっ!」

「よく脱いでたんっ!?」

ええ話になりかけたのに、結局脱ぐか脱がんかという変態論に行き着いた俺たちは、辿り着いたコンビニでアイスを買って研修場へと帰路をとった。

4月の冷たい夜風と、自転車が巻き起こす風は半袖短パンのぼすの体を西野カナにさせていた。


研修場へ着き、卓球場に近づくと、部屋の窓から、蛍子ちゃんが卓球している姿を見かけた。

「おっ!蛍子ちゃんおるやんけっ!」

俺はテンションが158倍くらいになって部屋のドアをぶち開けた。
(もともと常人以上のテンションがさらに158倍。つまりもう、めっちゃ楽しい)

(デジャヴ)

俺とぼすを確認した4人は驚いていた。

「えっ?本当に買ってきたの?」
「遅かったからもう戻ってこないと思ってた。」

「売店閉まってたからさ、チャリ借りて外のコンビニまで行ってきた。」

「えっそうなん?」

あの人ら口だけで結局アイス買って来ないと言う評価から、なんや買ってきてくれたんや。

これが下げてから上げるというやつか?
俺は感心していたが、ぼすにとっては全て計算の範疇だったようだ。

人の心さえ操るなんて彼は魔術師か?道化のバギーか?
buggy.gif


「まあまあ皆さん、さっきはごめんな!アイスでも食べてください!4つあるから全員分ね!」

みんなにこやかにアイスを取る。

1番の被害者蛍子ちゃんももう怒っていないようだ。
1番怒っていたちーちゃんもテンション50通常運行でアイスをほうばる。

畠山君と、みっちーは何も被害に遭っていないのにアイスが食べれて嬉しそうだ。

卓球拳という荒波から巻き起こった異常な空気感から解放され、卓球場に平和が戻った瞬間だった。

俺たちはアイスを食べながら談笑している。

「いや、ぼすってね。いつからそんなにおもろいんすか?」

「3ヶ月目くらいかな??」
「3ヶ月って妊娠期間?」

「そうそう!
医者がおかんの腹触って`おもしろい波長してる`って言うててさ。」

「波長?」

「出てくる時に'どーもー'って言いながら母体から出てきて、
そんときのBGMは
'ミスガンガンガンガンガーン.ウーおお〜ウーおお〜'」


「M-1グランプリっ!」

一同は爆笑した。
これこそ卓球拳が生み出した奇跡の笑いかもしれない。


消灯時間が近づき俺たちは自分の部屋に戻った。
男子は2階、女子は3階。

俺はもちろん3階に上がろうとしたのだが、ちーちゃんが怒ったのでやめた。哀しいかな?

ビオレ(第十一話「ビオレは赤ちゃん」参照)
で体を洗いさっぱりして床につく。しかし、テンションが上がりすぎて眠れなかったので、そっと部屋を抜け出した。

芝生に寝転がって、夜空を眺める。

♪黄昏健忘症 置き忘れた 速すぎる季節の中心で♪

ユニゾンスクエアガーデンの'黄昏インザスパイ!'を口ずさんで物思いに耽る姿は未だに中2病をひきづってることを証明している。


'俺はなんて幸せなんだろう。
ぼすっていう素晴らしい師匠に出会えて、心優しい同期に恵まれた。
蛍子ちゃんという、浅倉さん以上に魅力的ではないかと思える女性にも出会えた。

今が人生のピークなんじゃないか??

けど胸の奥の心の虚しさはどうしても消えない。
浅倉さんに三行半をつきつけられた(結婚してねぇよ)哀しさと悔しさだけが...常に俺を惑わせている。

彼女は最後にこう言った。
「とっしーは私に依存しすぎ
もっと他の女の子をみて?」

俺はこれを言われて憤慨した。
'俺は君がええってずっと言ってるのになんで俺を避けるねんっ!'

けど今は、浅倉さんにこう伝えたい。
「蛍子ちゃんっていう子がめっちゃかわえぇんや!
ちーちゃんっていう平安美人もおるんやぞ!
2年前は泣きじゃくって、情けなかったけど...
今はしっかり生きていってるぞ!!」

けど、あの人の連絡先もう知らねぇや。
やっぱ寂しいなあ...

真夜中、部屋に戻った俺は、どうしようもない興奮と高鳴りと苛立ちを1万文字に迫るほどの文字に詰め込んで、
人生の師匠'ソリソリソリの姐さん'に送信した。
(文字書くのめっちゃ好きやん)



次回予告

癖ありすぎて絡むだけでおもしろい売店のおじさんが現れた。
詐欺まがいの商法に、怪しい仕入れ値...彼は何者?

9月11日(日) 
第十九話 おっちゃんと詐欺は紙一重




-俺バグ延長戦- 拝啓、いつかの君へ
作者が弾き語るエンディングテーマ

 「ふがいないや」 YUKI 




俺バグ延長戦
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プロフィール

神戸のルパン

Author:神戸のルパン
このブログでは小説を連載したり、
日々気になったことを記事にしています!

小説のタイトルは、「俺たちバグジー親衛隊」
楽しく生きよう!と思える、明るい作品です!
会話が多く、気軽に読める作品で、毎週金曜日に1話ずつ更新します。

1話完結が基本なので、何話からでも読み始めることができます!

<あらすじ>
 毎日をバカらしく生きた高校生のドタバタ日常ほんわかラブコメディ!
電車で謎のおっさんに殴られる。旅館の浴場に温泉の素を投入。迷子の末、線路を爆走…
  主人公は高校デビューを決意した、冴えない高1とっしー。親衛隊(友人たち)の助言を得て、様々なおバカ活動により垢抜けていく。
 浅倉さん、謎の美女レベッカとの出会いはさらなる波乱を生み…!
 次々と起こる謎イベントや、とっしーの恋のゆくえ!果たして物語はどう転ぶのか?
 読むと「っふぅほわっ」とした気分になり、人生が楽しくなる!?
 現代日本に送る「愉快痛快日常コメディ」

 ぜひ一読してみてください!

また金曜日には稀に、俺たちバグジー親衛隊の続編「俺バグ延長戦」を更新しています。こちらは、社会人となった主人公とっしーが、何を考えどう生きたかが描かれています。おなじみ、親衛隊メンバーとのおバカな掛け合いは健在ですが、高校生編よりも真剣な展開が多いです。

金曜日の「俺たちバグジー親衛隊」がみなさんの週末に欠かせないものとなり、
「今週もよく頑張った!また明日から頑張っていこう!」
 と思え、読んだ人々の心が軽くなって笑顔になる作品を執筆していきます!

 物書きとしては初心者で、稚拙な表現も多々あります。
 感想や指摘点はコメント欄でどんどん教えてほしいと思っています!
 物語の完結まで、一生懸命執筆しますので、応援よろしくお願いします!

また、他にも音楽や、サブカルチャー、社会問題への提言など幅広い話題の記事をアップしています。よろしくお願いいたします!
 夢は、書籍化→映画化!!!
日本列島に「俺バグ旋風」を巻き起こします!!!

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やぎぬま るい (@hishintai08)

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