2017. 06. 09  
3章

↑【目次】Ⅲ章 どでかい花火で人生終幕?
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花火が打ち上がる夜空の下、ハーモニーは続きます。

♪ドーンドーンドンッ♪

♪ビキビッキィッーー♪


「お前はあかん!お前はええわ!」

「落ち着け!」
「落ち着け!」

「これが落ち着いていられるか!」

「ヒェッ怖っ。コイツァ、キレてやがるぜ!」
「逃げようぜ、キャプテン!」

そう言ってボブとキャプテンは歩みを進め、そんな彼らをぼくは、「待てぇー!」とルパンでも追うように声をあげました。

人混みを押し分け早歩きで進むとは、なんて迷惑な奴らなんでしょう。

茶番にも飽きたのか、シンプルに疲れたのか、ぼくらは歩道の端にみつけたベンチに腰掛けました。

一息つくと、ボブはぼくの顔をジロリとみて呟きました。

「ドンビカチュウか」

「ドンピカチュウってなんやねん」子供たちの人気者、ピカチュウと呼ばれたぼくは少し嬉しそうにボブに言い返しました。

「ドン引きされるピカチュウってことや。ドン引きされてるから」

「誰がドンピカチュウや!
あんな可愛いピカチュウがドン引きされるかよ」

「あんなキモいメール送っといてよう言うなあ」

♪ビキビッキィー♪

たたみかけるように続くボブの口撃と、横でちゃちゃをいれるキャプテンの合いの手は、ぼくの全身から力を奪っています。


そして、ベンチに座り下を向いていたとき、ひときわ大きな音がぼくの耳を貫きました。

ドーン

「ウルセェ黙れ!
ドン引きの歌はもううんざりや!!」


「俺らちゃうぞ?」
「花火の音や、あれは」

至って冷静な、ボブとキャプテンをみて、ぼくは取り乱す自分が恥ずかしくなりました。

少し冷静になり、冷静に今の現実を振り返ります。

「メールの文章は褒めてくれたやん。
'気持ちは伝わってる。ええ文章って
言うたやん'」


訴えるようなぼくの問いかけにボブは優しくもなく言い放ちました。
「気持ちは伝わってるよ。
ただ浅倉さんはたいして話したこともない相手から一方的に好意を押し付けられてるんやぞ。
伝われば伝わるほど浅倉さんはとっしーを遠ざけるのが普通ちゃうんか?」

「なんやと..!」豆鉄砲を食らったような顔になるぼくに、ボブとキャプテンはさらに語ります。

「まあ、今日の昼にフラれているからな」
「逆になんで浅倉さんが一人で花火に来てると思ったん?友達と来てる可能性高いし、友達と来てたらとっしーとは合わへん」

「それをメール送る前に言ってくれよ!!」

「言ったやん」

「じゃあ、俺を止めてくれよ、そんなメール送るなって!」

「止めはせんよ。止めたらおもんないやん」

「おもんない??もしかしてお前ら...」

「あのメール送って、浅倉さんがドン引きして、とっしーが'うわあっー'って叫ぶまで俺たちは見たいねん。
それがおもろいからな」

「せやな、あのパターンが一番好きや」

「て、テメェら!」
バイナイ事件で判明した、ボブとキャプテンのお笑い至上主義がここでも露呈し、ぼくは怒りを抑えきれません。

塩らしい馬顔を、整った顔立ちのボブにグッと寄せて、今にも殴りかかりそうなそのとき、はるか上空で特大花火が打ち上がったのです。

ヒュルルルルー
ドーンッ!!!


♪ドーンドーンドン♪
すかさず歌い出すボブに、
♪ビキビッキィー♪
合いの手を入れるキャプテン。

忌まわしい歌の前に花火の爽快感が一瞬で消え去ったぼくは突っ込む気力さえ湧きませんでした。

そうして花火大会が終わり、人々とともにぼくらも帰路につきます。


電車内でのぼくは、あらゆる感情を心の奥底ににしまって扉を閉じてしまっていました。なにも感じないように。なにも考えないように。

浅倉さんは俺のことが好きじゃない。だから振られた...
顕然たる事実がぼくを襲います。


「今日はまっすぐ帰るわ」
バグり島の最寄り駅、西桜ヶ丘駅の1つ前の駅でぼくは彼らに告げました。

「何言うてるねん。バグり島まで来いよ」

いつもと変わらないボブの言葉なのですが、この時のぼくは心が乱れており、彼に突っかかります。

「だいたいよぉ。お前らは西桜ヶ丘駅が最寄りで家への帰り道の途中にバグり島があるやろ?
けど、俺の家は、1つ手前の駅やねん!
なんでわざわざ遠回りして、帰らなあかんねん!
バグり島になんでいかなあかんねん!!」

「ええから来いって」
ボブはそう言ってぼくの手を掴み、バグり島まで連れて行ったのです。


そして、23時を回った真夜中のバグり島。道路の横の石垣に3人が並んで
座っています。

誰も何も言葉を発しません。
朝からの部活、バイナイ事件、中学生にバカにされる、そして人混みの中での花火鑑賞と、数々のイベントをこなして疲れ切っていたのです。

ぼくはただただ、浅倉さんのことを考えていました。
途中親から、はよ帰って来いとの電話がかかってきましたが、「今日はとんでもないことが起こったからまだあかん」という謎の言い訳を叫び、電話をブチ切りします。

「がんばってもがんばってもどうしようもならないことがある。世の無常を観ずるとはこういうことなんやな」

「とっしー、何もがんばってないやん。勝手に告って勝手に振られただけやろ??」

核心を突かれたその瞬間、空からポツリと冷たい粒が落ちてくるのを感じました。

「雨か...」
「そら、地球も泣きたくなるときもあるわ」

くだらないことを言いながら、手のひらを上に向けます。
次の滴りはなく、気のせいかと、考えたときにまた、水滴が落ちました。あ、と思っているうちに雨脚が強くなります。
そしてあっというまに、土砂降りになりました。

「あかん、どっかで雨宿りや!」

3人は雨から逃れるために、ダッシュでバグり島から離れて、タバコ屋の小さな屋根の下に避難しました。

「俺らって、なんで生きてるんやろな」
ポツリと吐き出したキャプテンの声は闇夜に力なく消えていきました。

「部活に打ち込むわけでもなく、勉強するわけでもなく、こうやってバグり島とかいう道路で時間を潰す日々...」
ボブの達観した言葉は、各々の心に響きます。


ようやく雨が静まると、世界の音がぴたりと止んだようにも感じました。

ぼくらは何も話しません。
ただただ無なのです。流れいく景色に同化するかのように無表情で前を見つめていました。

ちょうどそのとき、時刻は0時を回りました。
バグり島付近の道路で翌日を迎える。

稜北台高校というそこそこ賢い進学校に通い、今までそれなりの優等生として生きてきたぼくらは、この日初めて、外で日を跨いだのです。

誰もが'俺たち何してるねん'という思いを抱きながらも言葉にはしませんでした。

諦念に支配された瞳は、虚ろに月を眺めていたのです。

TO BE CONTINUED 次回もおぶあかした



次回予告

6月?7月?某日(金)

夏が来た!
あの花火の日がなかったかのようにバカバカしい毎日を繰り返し始めるバグジー親衛隊!
暴れっぷりが加速する!

Ⅳ章 Don’t Look Back In Anger  は6月か7月の某日 金曜日から開始いたします!

それまでは、俺バグ延長戦をお送りさせて頂きます。

←38話 世界で一番長い日(5) 「ドーンドーンドンビキビッキー」

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エンディング曲
やっぱ I love you  






俺バグ 文末 乞うご期待 (1)
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プロフィール

神戸のルパン

Author:神戸のルパン
このブログでは小説を連載したり、
日々気になったことを記事にしています!

小説の題名は、「俺たちバグジー親衛隊」
読むと笑みがこぼれる学園コメディです!

毎週金曜日に更新します。基本、1話完結ですので何話からでも読み始めることができます!

<あらすじ>

電車で謎のおっさんに殴られる。
学校創立以来の大事件を起こす。
迷子の末、線路を爆走。

門限18時、冴えない高校1年生のとっしーと、
「おもしろければ何でもええ」笑い至上主義のボブとキャプテンの出会いが化学反応を起こし退屈な日常に奇跡を起こします。

無茶振りに戸惑い、泣き喚きながらも、持ち前の行動力を発揮していくとっしーは、数々のイベントをこなし、高校デビューを果たします。

そしてぼくら3人は、毎日、22時頃まで共に過ごすホモ集団へ… 蜜月の3人を待ち受けるのは、次々と起こる謎イベント...

死を覚悟した高さ10mの橋に架かる線路を歩くことを乗り越えた先に待つものは…?

そして9年3か月の片思いは、悲劇の結末へ…
いや、その結末こそが、喜劇の始まりでした。

アウグストゥス
「この人生の喜劇で自分の役を最後までうまく演じたとは思わないか?この芝居がお気に召したのなら、どうか拍手喝采を」 



この作品のジャンルは「喜劇」、「コメディ」です。読者が幸せになる作品を目指します!

金曜日の「俺たちバグジー親衛隊」がみなさんの週末に欠かせないものになり、「今週もよく頑張った!また明日から頑張っていこう!」とみんなの心が軽くなって、笑顔になれる作品を執筆していきます!


 物書きとしては初心者で、稚拙な表現も多々ありますので、感想や指摘点はコメント欄でどんどん教えてほしいと思っています!
 喜劇の物語の完結まで、一生懸命執筆しますので、応援よろしくお願いします!

また、他にも投資、音楽、サブカルチャー、社会問題への提言など幅広い話題の記事をアップしています。よろしくお願いいたします!
 夢は、書籍化→映画化!!!
日本に「俺バグ旋風」を巻き起こします!!

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やぎぬま るい (@hishintai08)

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