2017. 09. 08  
俺バグ延長戦Ⅲ章

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サッカーの2試合目に、俺は本領を発揮する。
シュートに向いてないことに気付いたので、パサーに回ったのだ。

サッカー未経験ながら持ち前の運動神経の畠山君に絶妙なスルーパスを繰り出す。

彼は、シャッと反応し華麗にネットを揺らす。

「いぇい!さっすが畠山君!」

「今のパス絶妙やったわ!」
この瞬間が最高だった。こうやって人は生きているのだろう。

そして、その次の3試合目あたりから、俺は自分の生きる道を見つけた。
サッカーが下手でも活躍できるポジション。それはキーパーだ。

しんどすぎて動けないからキーパーをやってみたら、案外楽しかったのだ。
あまり動かなくていいし、セーブしたら、「うおおお」と、会場が湧く。

相手がペナルティエリアに入ってきたら、「気円斬」だか、「マカンコウサッポウ」だか、適当に叫んで相手が力むのを待つ。これが俺の作戦だ。

そして、キーパー以外でももう一つ活躍できることを発見した。

それは、影武者作戦だ。

敵陣地近くで、ボールを持った人に大きく声をかけまくる。
「こっちにパスや!俺が決めたる!」

そのやかましさで、相手ディフェンスを引き寄せるの、相手ディフェンスが俺の方に来れば儲けもの。俺にパスが回ってこないのだから。

しかし、まれにパスをだしてくれる優しい人もいて、そのおかげで2本シュートを決めることができた。

シュートと言っても、ものすごいキックの素振りにしては、靴の端に触れただけのボテボテゴロだが…

そして、約二時間、汗を流してサッカーに打ち込んだ。
こんなに汗だくになったのは久しぶりだが、体を動かすことの爽快さを思い出した。


フットサルが終わったあと、俺はギアルに電話をかけた。
「昨日の予告通り、今から家行くで。」

「おう、今どこおるん?」ギアルは眠そうな声で返答する。

「梅田」

「何してるん?」

「フットサルしてたわ。だから今、汗だくや」

「きんめ~~~」

「きもないわ!スポーツで汗流して何が悪いねん! 」

「運動して努力してる人を否定するわけじゃない。
ただ、汗をかいてる人が気持ち悪いんや、すまん」


「わかった。じゃあ上沢の銭湯で汗を流せばええんやな
とりあえず、ギアルの家付近に着いたらまた連絡する」

40分後。ギアルの住む上沢駅に到着したので、もう一度彼に電話する。
「銭湯おるで。一緒に入ろうや。」

「俺風呂入ったよ」ギアルまさかの返答。

「は?じゃあ、俺、一人で銭湯行くん?」

「そうやで。」

「一緒に入らんの?」

「そうやで」

「なんでやねん!一緒に入ろうぜ!」

「お前ってさ…ホモなん?」

「いや別にホモちゃうけど、一緒に入ってもええやん。」

「入ってもええけど、入らんくてもええやろ?」

結局ギアルは風呂に入ってくれなかったが、俺たちは飲み屋に入った。


「とっしーって、ついに浅倉さん以外の好きな人みつかったんやろ。
よかったなあ」


「せや。蛍子ちゃんっていうんや。彼氏おるけどな」

「その蛍子ちゃんとどう仲良くなっていくん?」

「飲み会で話したり…やな」

「蛍子ちゃんは何飲むん?」

「あの子は、ビール飲むで。俺は、梅酒や」

「けどさ。二人で飲みに行ってそれを注文したら、店員さんは、とっしーにビール置いて
蛍子ちゃんに梅酒をおくやろ?
梅酒はぼくです。って宣言するとき恥ずかしいやん」


「しゃあないやんけ、ビールは苦いから嫌いなんや」

「そういうとこやで。ガキっぽいねん。
だからとっしーは浅倉さんに振られたんや」

浅倉さんのことを言われて俺はムキになる。
「浅倉さんは一途な人が好きって言ってた。俺は一途やったのに振られたやん」

「それはただの逃げや。とっしーがその言葉にすがりたいだけや。
一途って言葉にすがってるお前は、浅倉さんと復縁できるという言い訳を作ってるんや。


お前のことが好きじゃない浅倉さんからしたらそんなん望んでないぞ?
ただのストーカーや」

ギアルの厳しい言葉に俺は、「黙れ!」としか言葉が出ない。
彼は、さらに言葉を連ねる。

「こういう正論地味た言い方は女の子は嫌いやねん。
だからこれはとっしーにしかやらん。
そしたらお前はこの正論にキレる」

「キレるとわかってたらやるなよ!」

「でもやるで。本当のこと言うマンやからな。

とっしーはそもそも女心がわかってないねん。
男は理屈。女の子は感情。
そういうのを知っとかなあかん」

「ほう」俺はギアルの恋愛講座に耳を傾ける。

「キャプテンは、理屈的な笑いや。練り上げてるけど、女性には受けん。
それがわかってるから、あいつは女子と話さん。


それがホモ疑惑を生むわけや。

ボブは生き方が上手い。
空気読めるし俺らの中で1番はよ結婚する。

ここでとっしーや。
キャプテンみたいな理屈で笑い取るタイプでもなく、ボブみたいに狡猾でもない。

こうなったときにお前の生き様は情に訴えるしかない。
恋愛スタンスはすがりつくってことや。


だから、お前は妥協されていけ!」

「そのいき方ださない?」

「ださいけどいけたらええやん」

「ボブの今の彼女との付き合い方を参考にしろよ」

「どんなん?」

「ボブの彼女がボブにもうアタックしてん。ほんで、ボブはまあ、あしらってたけど、
結局まあええかってなって、付き合った。」

「立場的には蛍子ちゃんがボブ、ボブの彼女が俺ってことか。」

「すがりついて、妥協点に入って付き合う。
今から言うグラフをほんまに意識せえよ。


イケル 妥協 無理
妥協のほんまに下でいい。


そんな好きちゃうけど、まあえっかって思われればええねん」

俺の現状を鑑みるに、ギアルのネガティブ恋愛論に納得せざるを得なかった。
そして、その作戦を意識して蛍子ちゃんと接する機会がやってきた。


5月29日、勤務が終わった。
俺はコップを洗いに洗面台のある部屋へ行った。

そこで洗い始めた瞬間、蛍子ちゃんがやってきた。

正直、ここでのエンカウントを希望してこの時間にコップを洗いに来たのだがいざ現れるとさらに緊張する。
足の震えを隠して、話しかける。

「仕事終わったん?お疲れー」

「うん終わったよ、お疲れー」

「1日疲れた?」

「いや、疲れてない...」

はにかむ彼女に俺はときめく。


「蛍子ちゃんさ?自己紹介のとき
'でございます'って言ってなかった?」

「え?そんなん覚えてないで!」

「ピスタチオか、サザエさんかとおもたわ!
'ございますっ'」


俺はモノマネをして蛍子ちゃんをからかった。
好きすぎてからかうなんて小5か。

すると、梅津さんがやってくる。
梅津さんは蛍子ちゃんと同じ課の先輩だ。

「蛍子ちゃんが見たことない感じでめっちゃ笑ってる!あ、やっぱり武田くんや」
梅津さんは蛍子ちゃんをみてそう言った。

俺はただただ喜ぶ。
蛍子ちゃんを笑わせたい一心でいつも話すネタを考えているのだ。

コップを洗い終わり、戻ろうとする俺と蛍子ちゃん。
「蛍子ちゃんもう帰るん?」

一緒に帰ろう!と言いたかったが言葉が出ず、一度、自分の課に戻る。

蛍子ちゃんとは別の課なので、タイミングを計る。
...どのタイミングで帰ったら蛍子ちゃんとエレベーターで鉢合わせれるかな?

まあ変態だ。

そんなことを考えていたおかげで、エレベーターでちょうど蛍子ちゃんと鉢合わせた。

蛍子ちゃんは俺を見かけるとにっこり微笑んでくれる。それが今の俺の生きがいだ。

エレベーターで2人きりになったりしたらドキドキが止まらないのだが、他の社員たちも大勢いる。

エレベーターから降り、俺は言葉を発した。
「蛍子ちゃんのことをさ。'アンチエイジング蛍子'って呼んでいい?」

「え?!な、なんで??」

戸惑う蛍子ちゃんに俺は語りだす。

「俺さ、ご存知の通り蛍子ちゃんに惚れてもてるやん?」

ふふふ、と笑う蛍子ちゃん。


「こんなマジ惚れしてまう恋のときめきは7年ぶりやねん。
年をとるほど大人になっていくけどさ。俺はいつまでもわくわくときめきたい。


蛍子ちゃんに出会えてから心が若返ってん。
だから、蛍子ちゃんのことを「アンチエイジング蛍子」「AK」って呼んでいい?」

こんなこと話したら普通にドン引きされるだろう。しかし、俺はありのままの思いを吐き出した。

「AK?なんか変やけど別にいいよ。」

微笑んで了承してくれる蛍子ちゃん。
俺は畳み掛けるように、恥ずかしい事実を暴露した。

「あとさ、隠したくないから言うけどさ、勝手にこんなことしてるねん。」

俺はどん引きされる覚悟で、ギアルに将棋で勝てば蛍子ちゃんとつきあえるという謎の賭けをしていることを話した。


「えっ?全然ええで。」
驚きながらも屈託のない笑顔で笑ってくれた。

本来俺は、梅田方面に乗るのだが、反対方向の中央線に乗った。
「あれ?武田くんっ、電車間違えてるんちゃう?」

蛍子ちゃんに言われるが、「大丈夫、大丈夫」とごまかす。
君と話したいから、なんて恥ずかしくて言えない。

恥ずかしさをごまかすために、俺は彼女に「ズボンの柄COWCOWみたいやな」と茶化した。

TO BE CONTINUED 次回もおぶあかした




次回予告

来週は、延長戦を掲載します!
9月15日 9話 フリーターやのに早起きやな

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-俺バグ延長戦-
作者が弾き語るエンディングテーマ

 「ふがいないや」 YUKI 



俺バグ延長戦8

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プロフィール

神戸のルパン

Author:神戸のルパン
このブログでは小説を連載したり、
日々気になったことを記事にしています!

小説のタイトルは、「俺たちバグジー親衛隊」
楽しく生きよう!と思える、明るい作品です!
会話が多く、気軽に読める作品で、毎週金曜日に1話ずつ更新します。

1話完結が基本なので、何話からでも読み始めることができます!

<あらすじ>
 毎日をバカらしく生きた高校生のドタバタ日常ほんわかラブコメディ!
電車で謎のおっさんに殴られる。旅館の浴場に温泉の素を投入。迷子の末、線路を爆走…
  主人公は高校デビューを決意した、冴えない高1とっしー。親衛隊(友人たち)の助言を得て、様々なおバカ活動により垢抜けていく。
 浅倉さん、謎の美女レベッカとの出会いはさらなる波乱を生み…!
 次々と起こる謎イベントや、とっしーの恋のゆくえ!果たして物語はどう転ぶのか?
 読むと「っふぅほわっ」とした気分になり、人生が楽しくなる!?
 現代日本に送る「愉快痛快日常コメディ」

 ぜひ一読してみてください!

また金曜日には稀に、俺たちバグジー親衛隊の続編「俺バグ延長戦」を更新しています。こちらは、社会人となった主人公とっしーが、何を考えどう生きたかが描かれています。おなじみ、親衛隊メンバーとのおバカな掛け合いは健在ですが、高校生編よりも真剣な展開が多いです。

金曜日の「俺たちバグジー親衛隊」がみなさんの週末に欠かせないものとなり、
「今週もよく頑張った!また明日から頑張っていこう!」
 と思え、読んだ人々の心が軽くなって笑顔になる作品を執筆していきます!

 物書きとしては初心者で、稚拙な表現も多々あります。
 感想や指摘点はコメント欄でどんどん教えてほしいと思っています!
 物語の完結まで、一生懸命執筆しますので、応援よろしくお願いします!

また、他にも音楽や、サブカルチャー、社会問題への提言など幅広い話題の記事をアップしています。よろしくお願いいたします!
 夢は、書籍化→映画化!!!
日本列島に「俺バグ旋風」を巻き起こします!!!

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やぎぬま るい (@hishintai08)

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