2016. 04. 09  
オフィスとは戦場なのかもしれない...

配属2日目、円谷はもうすでにパンク寸前だった。

課の中でゆとり新卒の彼だけが慌てて必死になっている。

必死になっているからといって仕事ができているわけではない。
周りの人は落ち着いて効率よく作業を進めているようだ。

「この書類作って?」
「この件の進捗状況は?」

幾つかの作業を進めるが、基本、何が何だかよくわからないが、前任者のメモと係長の助言でなんとか作業を進める。

大概の同期が、2人一組で部署に配置され、仲良くペア働きしてるのに、円谷は1人で部署に配置された。前任者の仕事も残っていたため、配属2日目から書類作成に取り組むなど、戦力になれているかはわからないが一応働いている。

新人なので同期同じところに配属されて、安心して働きたい。
彼はそう感じていたが、アルバイト時代の先輩からの助言は彼に大きな影響を与えた。

「1人配属は、ほんまに期待されてる証やと思う。実力云々ではなく、この子は1人で配属しても、上の人とうまいことやっていけるって思われたからそうされてる。」

先輩の助言とエールを胸に、円谷は1人配属を人事からの期待と前向きに捉えた。
むしろ、全体的に年齢の高い課に配属されたことは、人生経験豊富な先輩から多くのことを聞ける、学べるチャンスだった。

余談だが、彼の母も新卒時代同期の中で1人だけ1人配属だったらしい。円谷も円谷の母も'楽天家の喋り屋'だからだろうか。


書類作成に追われる彼には仕事中、ひとつだけ誇れる時間があった。

電話対応するときだ。社内の内線、社外から、幾つもの電話を受けるだけで、自分がオフィス人になった実感を感じる。普段、自分の携帯にはめったに連絡が来ないのに、社会人は違う、かっちょええと彼は喜んでいるのだ。


昼休み、円谷は2人の上司にカレー屋へ連れていって頂いた。
彼のついていき方は絶妙だ。

上司2人が前を歩く後ろをちょこんと尾行する。はなれすぎず、つきすぎず。
40代の中堅社員の後ろにリスのように(顔はそんな可愛くない)ちょこちょこついていく円谷。

彼は、カレー屋へ行く途中、幾つかの気になる飯屋があった。むしろ飯屋のカレーは甘党の彼にとっては激辛フードだったのだ。

しかし、変に気を使う彼はそんなことは口には出さない。
「カレー楽しみっす」とヘラヘラしている。

案の定、飯屋のカレーは甘口やのに辛かった。円谷の舌はやはり赤ちゃんだ。

コーヒー飲めない、カレー甘口さえ厳しい、彼はいつ大人の味を知れるのか...

午後の勤務を終えた彼は、無事、定時で退社できた。
周りの社員は殆ど帰っていないので心が痛む...

「新人の俺が生意気に定時退社していいのか?」
しかし、上司は優しくええでと言ってくれるので、彼はお言葉に甘えた。

残ったところで業務内容を理解しきっていない彼では生産性が低すぎるのだ。

しかし彼には定時退社であっても、相当疲労を感じていた。瀕死だった。

「月曜日でこの疲れか、あと4日やってけるのか?」

彼は帰路で不安になる。

PC画面とのにらめっこに疲れ目の境地。
往復3時間通勤の気だるさ。

唯一の救いは、実家暮らしなので、家に帰ると飯があり、洗濯など炊事は全て親に任せられるということだ。

「一人暮らし早くしてぇよ」
と思っていた円谷だが、定時退社でこの疲れでは家事をする余力などないであろう。

「社会人って大変やなあ」
彼は社会の厳しさに早速打ちひしがれた。

大学生活があまりに楽すぎたその代償なのかもしれない。

つい1週間前に友人に、恋や愛について熱弁をふるった彼もいまではそんなことを言う余力はない.....
街で可愛い女の子とすれ違っても諸行無常、無だ。

無類の漫画好きの彼だが、ジャンプを立ち読みして帰る力も無かった。

だが、彼は疲労困憊でも魂の火だけは絶やしていなかった。

このままで終わってたまるか!
もっともっとしっかり働きたい!


「今のままの'何すりゃええかわからんから前任者の資料みてなんとなく進める'状態から早く脱却しねえと!
人事評価次第で給料にも昇進にも差がつく。やるぞ、俺はやってやるぞ!!!」


To be continued...
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プロフィール

神戸のルパン

Author:神戸のルパン
このブログでは小説を連載したり、
日々気になったことを記事にしています!

小説の題名は、「俺たちバグジー親衛隊」
読むと笑みがこぼれる学園コメディです!

毎週金曜日に更新します。基本、1話完結ですので何話からでも読み始めることができます!

<あらすじ>

電車で謎のおっさんに殴られる。
学校創立以来の大事件を起こす。
迷子の末、線路を爆走。

門限18時、冴えない高校1年生のとっしーと、
「おもしろければ何でもええ」笑い至上主義のボブとキャプテンの出会いが化学反応を起こし退屈な日常に奇跡を起こします。

無茶振りに戸惑い、泣き喚きながらも、持ち前の行動力を発揮していくとっしーは、数々のイベントをこなし、高校デビューを果たします。

そしてぼくら3人は、毎日、22時頃まで共に過ごすホモ集団へ… 蜜月の3人を待ち受けるのは、次々と起こる謎イベント...

死を覚悟した高さ10mの橋に架かる線路を歩くことを乗り越えた先に待つものは…?

そして9年3か月の片思いは、悲劇の結末へ…
いや、その結末こそが、喜劇の始まりでした。

アウグストゥス
「この人生の喜劇で自分の役を最後までうまく演じたとは思わないか?この芝居がお気に召したのなら、どうか拍手喝采を」 



この作品のジャンルは「喜劇」、「コメディ」です。読者が幸せになる作品を目指します!

金曜日の「俺たちバグジー親衛隊」がみなさんの週末に欠かせないものになり、「今週もよく頑張った!また明日から頑張っていこう!」とみんなの心が軽くなって、笑顔になれる作品を執筆していきます!


 物書きとしては初心者で、稚拙な表現も多々ありますので、感想や指摘点はコメント欄でどんどん教えてほしいと思っています!
 喜劇の物語の完結まで、一生懸命執筆しますので、応援よろしくお願いします!

また、他にも投資、音楽、サブカルチャー、社会問題への提言など幅広い話題の記事をアップしています。よろしくお願いいたします!
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