2016. 06. 26  
たいして興味がないだろうが、一応俺の行動を記しておく。

22日、ボブと大宮で別れた俺は、
23日、親父と合流し、GLAYの武道館をともに鑑賞する。
身を乗り出しはしゃぐ俺の横で、なんとも乗り切れない親父。

父と、共にライブを見に来たのは、高校二年生のポルノグラフィティの横浜アリーナでのライブ以来だ。

確か、浅倉さんを誘ったが断られたので、父と行くことにしたのだった。

あのときも父はいまいち乗り切れない感じでライブを鑑賞していた。

あの時と俺たちは何も変わらない。

24日、父と二人で、柴又を観光し、昼過ぎに帰路へ。新幹線で優雅に帰郷するのだ。


「東京駅で昼飯食べよか。」

そう言って俺と親父は、東京駅をふらついた。
慣れない足取りで東京駅を彷徨う俺と親父。

俺は東京が初めてではない。
浅倉さんは大学時代、東京に住んでいたので、何度も来ていた。

しかし、慣れない。東京のこのおしゃれな雰囲気がどうも俺の肌に合わない。

一応若者の俺でさえそうなのだから、齢50を過ぎる父にとって、東京駅はただ疲れる場所だろう。

「ええ感じの飯屋ないなあ。」
そう言いながら歩き続ける。

カフェは山ほどある。しかし、カフェには行きたくはない。
おしゃれなカップルや若い女の子たちに紛れて、俺と親父がカフェに入るか?

いや、入らん。

カフェ以外に目に入る店と言えば、パン屋、フレンチレストラン…

「こんなとこちゃうねん。俺らが求めてるのは大衆食堂や。なあ親父」

「東京っちゅうのは、若者向けの店ばっかりやなあ、老人はどこにおるんや。」
老人の所在を気にする親父。


ここで、俺は現状を打開するために、駅員に聞くことにした。

大衆食堂の代表、立食い蕎麦屋の場所を駅員に聞く。
「さーせん。東京駅の蕎麦屋どこっすか」

「ないよ。品がないからって潰された。」
駅員は冷酷に告げた。


品がないから蕎麦屋を潰したって...

俺は、おしゃれ至上主義の東京という町が怖くなった。
隣で親父も震えている。

親父の震えは、歩き疲れた膝の疲れか?それとも尿意か?

真実は闇の中だ。


「まあ、店を探そう。」
そう言ってまた歩き出す俺たち。


次に見つけた店は、

バリごはん。バリってなんやねん。
得体も知れない店に警戒する父と子。

「怪しいけどここにするか。」

「いや、もうちょっと探そう。まだ新幹線の時間まで余裕はある。」


すると、ラーメン横丁をみつけた。

「ここや!」
俺は歓喜する。

俺たちはすぅっと、ラーメン屋に入った。

「にいちゃんら、ちょい待ち!」
俺たちの背後から、おっさんが叫んだ。

「わしら、先ならんでるで。」


ふっとみると、ラーメン屋から3,4m先の道に、おっさんたちが10人ほど並んでいる。

「もっと近くに並べよ。わかんねーよ。」
という思いを胸にこらえ、

「さーせん」といい、その場を離れる。


見渡すと、横町内の4,5件の店には、どこも大勢の人が並んでることに気付いた。
俺と親父は、10人以上の長蛇の列に並ぶ気はない。

「バリ。行くか。」
「あの得体も知れへん飯?まあしゃあないな。」

そう言って覚悟を決めて歩き出すと、
1つだけ、割と空いてるラーメン屋を見つける。

「おっ、ダークホース出現!ラッキー。」

俺たちはその店に入った。


「いらっしゃいませぇえええええ!」
妙にうるさい兄ちゃんが叫び、水を持ってくる。

10秒後、親父が唸った。

「うっっ」


「どうしたん?」
俺は心配になって声をかけた。親父も年だ。疲れが出たのか?

「この水な、めっちゃまずい。
川の味がするぞ。」


「川?」
親父は川の水をよく飲んでいたのか。


「こ、これが、東京の水が」
俺も、この水のまずさに驚く。

提供された水がこのまずさってことは、たぶんラーメンのだしにもこの水を使っているから…

予想は当たり、もちろん味もイマイチだった。
関東の味付けが合わんのかもしれない。


「あのラーメンに1000円取られるくらいなら駅弁買えばよかったな。」
そう言いながら、新幹線乗り場へと歩く俺たち。

厳密に言えば、俺は金を出していない。
親父が奢ってくれたからまあ、まあラッキーというか複雑な心境だ。


新幹線の席は、16号車。

ホームを延々と歩く、歩く歩く、延々と、歩く。

「遠くない?」

「そらしゃあない。16両あるねんから」

18番線の半ば頃。
13号車付近に、見えたものは俺たちの目ん玉をひん剥いた。

立ち食いの丼ぶり屋さんがあるではないか。

そこには、普通に蕎麦が売っていたのだ。


「あの駅員!何が品がないから立ち食いは潰れたや。あの駅員、ホラ吹きやがったな。」

少しイラつく俺に父は呟いた。

「あの駅員、
嘘つき少年や」






次回予告


7月3日(日)
哀しいことがあった。東京を憎んでいた、
しかし、そんな思いはもう捨てたい
新たな気持ちで踏み出す一歩とは...

第六話 東京を憎んだ過去は露と消え…





-俺バグ延長戦- 拝啓、いつかの君へ
theme music 
THE DAY HAS COME 2019



俺バグ延長戦6
2016. 07. 03  
新幹線の席につき、今回の東京の旅を振り返った。

2年ぶりの東京。

研修で、アホみたいに騒いで楽しんで、
多いまでボブと会って社会人になったことを痛感し、
そして、GLAYの武道館ライブを堪能した。

単純な感想として、東京が素晴らしく楽しかった。


おかしい。

俺は東京を憎んでいたはずだ。
2年前、浅倉さんに振られた次の日、新宿で彼女と話した。

別れの決意の固さを語る浅倉さんと、
号泣して「別れないでくれ~」と息も絶え絶えにすがる俺。

もう思い出したくはないシェイクスピアもびっくりの悲劇だ。

情けない話だが俺はその時に東京を逆恨みした。

「この街が、東京が、浅倉さんの俺への気持ちを消した。」

しかし、振られてから2年の月日が経つと少し物事を冷静に見れるようになってくる。

東京は何も悪くないやん!

浅倉さんも何も悪くない!!

俺が浅倉さんに振られたのは、単純に俺の人としての魅力不足っ。

それだけの話やったんや。

あたりまえのことにやっと気づいた。


そう思うと、元々東京が好きやった俺には、東京で働きたいという夢を抱き始めた。

幸い、俺の職場は希望さえすれば東京で働ける。
東京は鬼のように忙しいらしいが、自分を成長させるためにはそういう場所に身を置くしかない。

「挑んでやる、東京という街で、闘ってやる。」

そんな決意を抱き、神戸へ帰る。

神戸に帰る途中で、この東京滞在の大部分を占めた、新人研修のことを振り返った。


高校時代に戻ったかのような楽しい5日間。

ぼすと出会って、

売店のおっちゃんをちゃかし、

卓球拳でコンプライアンス、スレスレの事件を引き起こし…..





次回予告

来週!
新章突入!新人研修編!

荒くれ者が集う研修所... 
とっしーは猛者達に負けずに生きれるか??
...と思いきや、さっそく、新人一の異端児のレッテルを張られ...

俺バグ延長戦 7月10日より3話連続公開!

7月10日(日)
第七話 じゃあな神戸、寂しがるなよ? 1週間よろしくな、東京


7月11日(月)
第八話 自己紹介でやらかす 前編


7月12日(火)
第九話 自己紹介でやらかす 後編






-俺バグ延長戦- 拝啓、いつかの君へ
テーマソング THE DAY HAS COME 2019




俺バグ延長戦4
2016. 07. 10  
地下鉄新神戸駅から新幹線乗り場まで全速力で走る1人の男。

長い長いエレベーターを、大量の荷物を引っさげ駆け上がって行く。

荷物がとにかく重い。
野球グローブ2つ、運動靴、さっき買った少年ジャンプ…

「磯野野球しようぜ」と今にも誘いたくなるような荷物を持った男が新幹線に乗って向かう先は研修所だ。

何しにいくねん?と自分の荷物が目に入る度に、首をかしげる。


腕時計の針は刻一刻と時を知らせ、俺に時間がないことを報告してくる。

「だいたい乗り換えの時に売店でジャンプ買う暇はなかった!
新幹線乗り遅れたらジャンプのせいやな。ジャンプが悪い。」

責任転嫁しつつ、俺は新幹線乗り場へ全力でダッシュした。


新幹線乗り場の長い階段を駆け上がった瞬間に、新幹線が到着し、なんとか間に合った。

安堵の溜息と共に、頭にふっと記憶がよぎった。


新神戸駅の新幹線ホームに来ると、4年前に浅倉さんを見送ったことが思い出される。
 東京に旅立つ浅倉さんと、浅倉さんの家族と俺。


切なさを抑えるように、新しい社会人生活に思いを馳せた。


寂しい記憶を胸にしまうためにも、俺は席に座るなり、さっき買ったジャンプを開いた。

いつもは20分で読み終えるが、今日は1時間ほどかける。
新幹線の快適な環境のせいだろう。

ジャンプはいつものジャンプだ。
俺の気持ちが違うだけだ。


新幹線のぞみに揺られ、研修へ向かっているが、今、俺の荷物にギターは存在しない。

しかし、ある人が止めてくれなければ、危うく

'新人研修にギターを持参してくる'


というぶっ飛んだ野郎になるところだった。


あれは研修の3日前…

俺は人事課の和高崎さんに質問した。

「研修にギター持ってっていいっすか?」

「えぅ?ギ、ギター。なんで?」

「弾きたいんすよ!」

ドヤ顔で宣言するゆとり世代の丸出しの非常識人を見て、和高崎さんは、首を35度ほど捻った。

「まあいいけど、どうなっても知らないよ。」

和高崎さんは、 'どうなっても知らんで' という言葉を選んだ。

まるで、否定されたら反抗したくなる俺の性格を見透かしたかのようだ。

'やめとなさい'と真っ向から止めるのではなく、俺に考えさせる時間を与えてくれる素晴らしい諫言だった。
戦国時代なら石高10万石くらい増えているファインプレーだ。


和高崎さんの言葉は俺を悩ませた。

研修にギターを持っていく
→現地の教官に切れられる
→入社20日でクビという社内記録更新


というゴールデンルートもあったのだが、さすがにもう少し働きたかった。

高校時代なら、何も考えずに本能のまま行動したが、
さすがの俺でも、社会人としての自覚が芽生え始めていたのだ。

最も、その社会人としての自覚はこの研修で失われるのだが…

てんやわんやの自分会議を経て、俺はギターなしで研修に向かうことにしたのだ。



俺はふと、隣の席の中年サラリーマンをみて、寂しさを感じた。

「みんな関西から東京に向かうのに、なんで現地集合なんや?

集団旅行の新幹線移動で、ワイワイするのが楽しいのにな。
1人1人が勝手に現地へ向かうって、なんかさびしい」


そんな思いが浮かぶこと自体まだ、俺の中の学生気分が抜けていない証拠だった。


慣れないスーツに身を包み、1人、黄昏ロマンスにひたった俺を乗せた新幹線はあっという間に東京に到着した。

東京を通り越し、千葉の某所にある研修所に到着し、併設されている宿泊所の中に入る。

全員バストイレ付の個室。

なんて贅沢な部屋なんだ。

俺は早速、ベッドに倒れこんだ。
フカフカな感じを全身で体感して飛び跳ねるアレだ。


バィンバィンと、ルフィ・ギア4のような跳ね具合を楽しんだのち俺の頭は、ぱっと閃いた。
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体が反射的に動き、1000円冊を握りしめ、自動販売機の近くへ飛び出したんだ。


有料ビデオカードが、売っているのかどうか?


あるはずがない。

100人が100人、「研修所で、研修生用のAVなんて用意されるはずがない」そういう結論を出す。

しかし、俺は、自分の目で確かめたかった、奇跡を信じたんだ。

もちろんなかった。

「AV見れんのかよー!
かあー、研修所も気が利かへんなあっ!」


能天気に呟く俺の背後から、教官らしき人が、ぼそっと放った。


「お前、ナニシニキ・テ・ルネン...」




次回予告

第一印象が今後を決める、注目イベント自己紹介が始まった!
サザエさんが現れる?!

7月11日(月)
第八話 自己紹介でやらかす 前編





-俺バグ延長戦- 拝啓、いつかの君へ
theme music 
THE DAY HAS COME 2019




俺バグ延長戦2
2016. 07. 11  
全国各地から集まった73名が一堂に会する、研修の入校式が始まる。

各々の目はギラつき、今後の社会人ライフへの不安と希望を抱いていた。

そんな真剣な場でも、俺の心の中はちょけていた。

「この一同に会する感じ少年漫画っぽい。
ライバルになりそうなやつがしゃしゃり出てきて、出身地と必殺技とか自慢してきたり...」


そんなお気楽なことを考えている俺だが、座っている席は明らかに浮いていた。

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席の配置が明らかにおかしい。

横に6人、縦12列、これで72人だ。
73人が集まったということは、1人余る奴がでてくる。

それが俺だ。

1人だけ後ろにちょこんと座っている。

群れの中で1人浮くというのはスイミーになった気分だったが、この場所はデメリットが多かった。

背後からは、研修所の教官たちの気配がザワワザワワと蠢めいているので、気が気でない。

後ろからシバかれたらどうしよう…



俺の心配をよそに、校長先生の挨拶が始まった。

校長先生ではないが、雰囲気は校長先生っぽいから、もう校長先生で通そう。

たぶんすごくいいこと言っているけどなんとなくあんまり聞きたくはない話

を真面目な顔で聞いたフリをしたあと、校長先生は退いた。

次に現れたのは、司会のダンディな社員。
 矢継ぎ早にキャラが後退していく馬車システムのようだ。

女子人気が高そうなダンディな社員はにっこり笑って言う。

「せっかくなので、みなさんに自己紹介をしてもらいましょうか。」

キタッッ!

テンションが上がったのは俺だけかもしれない。

とにもかくにも、73人の自己紹介が始まった。


「◯◯所属の◯◯です。よろしくお願いします。」
「△△所属の△△です。よろしくお願いします」

前方の列から順番に、名前とお願いしますを言っていく。

スタンダートな自己紹介。
とてもしんぷるだが、何かが足りない。

この自己紹介には、なんかこう、何か大きなものが欠落しているような気がしてならない。


単調すぎるんだ…

みんな同じことを言うから、面白くないのだ。


次に何を言うのかが予測されてしまう状況では、ワクワク感が生まれてこない。

緊張した面持ちでの、名前と、よろしくお願いします。

席が一番後ろの俺はみんなの顔も確認できず、誰が、誰なのかを認識できない自己紹介が続いた。

「こんなに人数おるんやから、誰か一人くらい笑いとりに来てくれよー。」
そんな小学校五年生なみ精神年齢で、能天気がスーツを着ているような俺にとって、この自己紹介は退屈なイベントになりつつあった。

そう、1人の女の子、「天使」が現れるまでは…



「秋本蛍子でございます。よろしくお願いいたします。」

サザエさんのような口調を彷彿とさせながら、気品に溢れた言葉遣いと雰囲気で自己紹介してくれた女性は、俺と同じ職場の秋本さんだった。

2週間後、その子にマジ惚れすることになるなんて、そのときの俺は、思いもしなかった。





次回予告

真面目な自己紹介のなか、ちょいちょいボケてくるやつが現れた
俺は大爆笑を奪うため、渾身のボケをカマスが…
ひとつなぎのロマンが崩れ去る全世界激震の第九話!

7月12日(火)
第九話 自己紹介でやらかす 後編






-俺バグ延長戦- 拝啓、いつかの君へ
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 THE DAY HAS COME 2019



俺バグ延長戦5
2016. 07. 12  
真面目な雰囲気の中、自己紹介は後半戦を迎えていた。

俺はペンを片手に、メモ帳にネタを考えている。
「どうボケたらこの、真面目な雰囲気の中で、笑いをとれるのか…」

煮詰まって頭が固くなりつつあったとき、大声が聞こえた。

「ッコンチャッーッスッ!!!」

これが平和に過ぎ去ろうとしていた自己紹介に、嵐を呼び込むファンファーレとなった。

「こんにちは」
原型もとどめない

ッコンチャッーッスッ!

という運動部特有の造語。

とれたてピチピチの鯛のように粋のいい青年は笑顔で語った。

「僕、去年まで、高校生でした!
社会人として、しっかり頑張っていくんで、
みなさん!よろしくお願いします!!」

ムキムキの肉体とアンバランスなはちきれんばかりのスーツ、

体育会系ゴリゴリのダイナミックな野郎をみて、思わずテンションが上がってしまった。

「大物がおるやんけ!
おもしろくなってきやがった!」



間髪入れずに、またもや大物が出てきた。

見るからに、硬派で、田舎から出てきた感じの純朴な青年は、少し恥ずかしそうに語り始めた

「大村純です。よろしく…お願いします。
えっと…好きな食べ物は…

いちごのショートケーキです。甘いものが好きです。」


耳を疑った。 

いちごのショートケーキなんて言葉聞くのが久しぶりだっただけでなく、
その言葉を研修の自己紹介で意識させられるなんて夢にも思わなかった。


俺は、一瞬固まったのち、

カッカッカッ

という、`大学時代に「その笑い方キモいからやめて」と女子に真顔で言われた笑い方`をした。

しかし、笑っているのは、俺だけだった。
あいつ何笑ってるん?という視線を若干浴びたが、気にせず、心の中で突っ込みを始める。

この自己紹介って好きな食べ物を紹介するイベント?
それよりいちごのショートケーキって!
めっちゃ硬派な顔して可愛いやん!

ギャップありすぎやろ!


ッコンチャーッスの元山、いちごのショートケーキの大村


この単調な自己紹介で強烈な爪痕を残した二人を俺は尊敬した。

「俺も負けるわけにはいかん!あいつらより目立たなくては!」と、奮い立った。

ただ、問題は、彼らが二人とも高卒ということだ。


高卒だから、ある程度のやんちゃさ、あどけなさが許されるのであって、
大卒の俺が彼ら以上にちょけようとするのはいかがなものか?

そもそも、彼らはちょけたわけではないかもしれない。
真面目に攻めた結果がちょっと目立っただけかもしれない。

しかし俺は今から、`あえてふざけに行く`

考えるうる限り最大限のボケを用意した俺は、ゾックゾクしながら順番を待った。


ついに前の前列の6人が自己紹介を終え、順番が回ってきた。

最後のトリだ。

「真面目なこの会場を爆笑の渦で包み込んでやる!」

そんな決意を胸に、さっと立ち上がった。
マイクを持った男のところへ向かうなり、
屋台のおじさん風に「っちょいとごめんよ」と叫び、喰い気味にマイクを奪った。


「えぇ~。みなさんこんにちは!

武田歳三、と申します!

ちょっと、みなさんに、確認していただきたいんスけどね?

この会場の席の配置、僕の席だけ出っ張ってて、一人だけ浮いてるんですよ!

この会場でテトリスしたら


僕だけ、消えずに残ってまいますよっ!」


`ボケてやったぜ`
そう思い、なんとなくいい気持ちになって鼻の穴が大きくなる。

いつもの3倍、空気を吸ってやった、ダイソンもびっくりだ。


俺のドヤ顔とは裏腹に、会場はわりかし、静かだった。
幾人かが下を向いて失笑している。


シンデレラのガラスの靴が割れるようにひとつのロマンが脆くも崩れ去った瞬間だった。


大丈夫、ここからが勝負だ。

「僕ねー。麒麟の田村に顔が似てるって言われるんスよねー!」

高校時代からのテッパンねたでフォローに回る。
このあと、距離の下りをして、笑かす予定だったのだが、自己紹介にも持ち時間がある。


俺を囲む教官たちの「お前長いからそろそろ終われ」臭
にびびってしまった俺は、オチを言わずに話を終えた。

ただ、スベったやつになってしまい、なんとなく腑に落ちないまま落ち込む。


10分前
「みんな普通。俺がおもろいこと言ったるっ」

上から目線でえらそーに物申していた自分を、即座に恥じた。


何やってんだ俺は?
そもそも、誰もが、この自己紹介に笑いなんて求めてなかったのかもしれない…


自己紹介は終わり、各自が散らばり、会場を後にした。


そんなとき、高校生二人が俺のそばへ寄り、俺も彼らのところへ向かった。
中間地点で、自然と3人が集まった。

三国志の桃園の誓いのような集まり具合。

無題

ゴリゴリ体育会系本山が笑顔で言う。
「スベってましたね!テトさん!」


「テトさんってなんやねん!」

「テトリスの話ですべったからテトさんっすよ!」


4歳年下から、テトさんとかいうわっけわからんあだ名をつけられたからには
今後その名前で呼ばれるたびに、今日のこのすべった悲劇を思い出すしかない。

人生、失敗と挫折を糧に成長していくしかねーなあ。

改めて飛躍を誓った俺は、テンションが合うが4歳下のやつという、
自分の精神年齢の低さを改めて思い知らされ、部屋に戻った。





次回予告

ノリの軽さと底抜けのアホさ。
それだけで今日まで生きてきた俺。
その性格が、「あいつ調子乗ってる」と数多くの敵を生んできた…
もうそんなことは気にしない、嫌うなら嫌えばいい。
社会人になっても自由気ままに生きていきたい

そんな中、ボディソープの存在が俺を惑わせ…


7月17日(日)
第十話 ノリの軽さとアピ太郎





-俺バグ延長戦- 拝啓、いつかの君へ
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THE DAY HAS COME 2019



俺バグ延長戦4
プロフィール

神戸のルパン

Author:神戸のルパン
このブログでは小説を連載したり、
日々気になったことを記事にしています!

小説のタイトルは、「俺たちバグジー親衛隊」
楽しく生きよう!と思える、明るい作品です!
会話が多く、気軽に読める作品で、毎週金曜日に1話ずつ更新します。

1話完結が基本なので、何話からでも読み始めることができます!

<あらすじ>
 毎日をバカらしく生きた高校生のドタバタ日常ほんわかラブコメディ!
電車で謎のおっさんに殴られる。旅館の浴場に温泉の素を投入。迷子の末、線路を爆走…
  主人公は高校デビューを決意した、冴えない高1とっしー。親衛隊(友人たち)の助言を得て、様々なおバカ活動により垢抜けていく。
 浅倉さん、謎の美女レベッカとの出会いはさらなる波乱を生み…!
 次々と起こる謎イベントや、とっしーの恋のゆくえ!果たして物語はどう転ぶのか?
 読むと「っふぅほわっ」とした気分になり、人生が楽しくなる!?
 現代日本に送る「愉快痛快日常コメディ」

 ぜひ一読してみてください!

また金曜日には稀に、俺たちバグジー親衛隊の続編「俺バグ延長戦」を更新しています。こちらは、社会人となった主人公とっしーが、何を考えどう生きたかが描かれています。おなじみ、親衛隊メンバーとのおバカな掛け合いは健在ですが、高校生編よりも真剣な展開が多いです。

金曜日の「俺たちバグジー親衛隊」がみなさんの週末に欠かせないものとなり、
「今週もよく頑張った!また明日から頑張っていこう!」
 と思え、読んだ人々の心が軽くなって笑顔になる作品を執筆していきます!

 物書きとしては初心者で、稚拙な表現も多々あります。
 感想や指摘点はコメント欄でどんどん教えてほしいと思っています!
 物語の完結まで、一生懸命執筆しますので、応援よろしくお願いします!

また、他にも音楽や、サブカルチャー、社会問題への提言など幅広い話題の記事をアップしています。よろしくお願いいたします!
 夢は、書籍化→映画化!!!
日本列島に「俺バグ旋風」を巻き起こします!!!

↓ツイッターでブログ更新を通知しています!
やぎぬま るい (@hishintai08)

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